ほんものはどーれだ!
トランプ・モバイル「T1 Phone」、公式画像が加工した他社製品だらけでカオスに

トランプ米大統領の息子らが設立したTrump Mobileは、6月に、現在のところ唯一の製品である「T1 Phone」を発表した。Trump Mobileは当初、このスマートフォンが完全に米国で生産されると主張していたが、すぐに米国内のサプライチェーン事情に詳しい人々から疑問の声が上がり、いつの間にか米国産を主張する文言は公式ページから消え去った。
そして、T1 Phoneにはもうひとつ、このスマートフォンには発表直後から指摘されている疑惑がある。それは、この製品がまだ実在していないのではないかということだ。Trump Mobileの公式ページに掲載されているT1 Phoneは見事な金色に輝いているが、そこはかとない違和感がある。たとえばある写真はOEMメーカーの製品である「CoolPad 100」や「REVVL 7 Pro」と呼ばれるいうAndroidスマートフォンの画像に、金色のテクスチャーとロゴマークをペーストしただけのように見えた。
そもそも、これら元ネタとされるスマートフォンはカメラの配置が異なるため、いくら金色だったとしても明らかに別機種なのだが、いずれもがT1 Phoneであるように表示されていた。
そして、今週初めにTrump MobileがXに投稿し予約を呼びかけたT1 Phoneは、またもや違う機種だった。以前のT1 PhoneはiPhone 16 Proのように3つのカメラレンズが三角形の頂点になるような配置だったが、今回の写真は3つのレンズが直列しており、iFixitは、PCMagに対し「カメラのレイアウトが S24 / S25 Ultraと完全に一致している」と指摘している。
また、この最新のT1 Phoneとされる画像のアメリカ国旗の中央部には、はっきりと保護ケースメーカーであるSpigenのロゴマークが見えている。つまりこの画像はSpigenのウェブサイトにある、Galaxy S25 Ultra用保護ケースの画像を加工し、Spigenのロゴを消し忘れたものと推測される。
Spigenの公式Xアカウントは、このTrump Mobileの投稿に「??? bro what(おい、こりゃ何だ?)」とリプライした。
なお、Trump Mobileは数日前、InstagramにもT1 Phoneの画像を投稿しているが、こちらはiPhone 16 Proの写真を加工したものであるようだ。

Trump Mobileが「これぞ誇り高きアメリカ製(Proudly American)!メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン!」と主張するのは誰も止めないだろうが、せめて発売予定の製品のCGレンダリングぐらいは用意すべきではないだろうか。T1 Phoneは発表時から仕様も何か所か変更されており、これでは購入を検討しようにも躊躇してしまう消費者のほうが多そうな気がしてならない。