AnthropicやOpenAIはAIチャットボットを1ドルで提供する発表しました

xAI、Grokの「メカヒトラー」宣言で米国政府機関へのAI提供契約から脱落か

Munenori Taniguchi

Image:JRdes / Sutterstock.com

イーロン・マスク氏が設立したAI企業 xAIは、Anthropic、Google、OpenAIが締結した米国一般調達局(GSA)との契約から脱落した模様だ。先月、同社のAIチャットボットであるGrokが、X上で突如として反ユダヤ主義的発言をしはじめ、第二次世界大戦時のナチス・ドイツ総統で独裁者のアドルフ・ヒトラーをゴリゴリに持ち上げたあげくに、自らを「メカヒトラー(MechaHitler)」だと宣言した出来事が原因と見られる。

xAIは、X上でGrokが問題発言を繰り返したことが話題になった後、声明を発表して「メカヒトラー」宣言の問題が修正中であるとともに、その回答が出力された原因について弁明。Grokが「あなたの姓は何ですか」とたずねられた際に、それがないためインターネットを検索した結果、望ましくない例、たとえば自らを「メカヒトラー」と名乗る話題のミームで回答しようとした、などと苦しい言い訳をした。

その後、xAIはAnthropic、Google、OpenAIとともに、国防総省との間で様々なミッション分野におけるエージェント型AIワークフローを開発するための、各社最高2億ドルの助成金支給契約を締結したことを発表し、政府機関向けの「Grok for Government」なる新たなサービスが、GSAを通じて連邦政府職員全体に提供されるようになると述べた。

だが、Wiredが伝えたところでは、「メカヒトラー」宣言の段階でGrokを契約対象から外すよう指示が出されていた模様で、その後xAIのGrokだけが、GSAの契約企業から除外されていることが判明したという。この情報を提供したGSA職員とされる2人は「xAIの除外はGrokの反ユダヤ主義的な激しい非難発言のせいだと考えている」とWiredに述べた。

ただ記事執筆時点では、Grok for Governmentに関するウェブページは更新されておらず、xAIはGSAがGrokの採用を取りやめた件についてウェブサイトのどこにも記していない。Ars TechnicaはxAIにコメントを求めたが返答はなく、GSAによる契約除外の事実は確認できていないとした。

もしWiredの報告が正しいのであれば、xAIはGSAの契約からは外れたものの、国防総省の、xAIとの最大2億ドルの契約を進めるという軍の決定には影響がなかったのかもしれない。

とはいえ、xAIがGSAの契約から外れたのなら、トランプ大統領が推進する政府機関へのAI導入で得られたはずの長期的な利益を、OpenAI、Anthropic、Googleといったライバル企業が享受するのを指をくわえて眺めることになる。

OpenAIは先日、連邦政府職員にChatGPT Enterpriseへのアクセスをわずか1ドルで提供すると提案した。また、これに対抗するようにAnthropicも同様の提案を行い、にわかに米国政府に対するご機嫌取り合戦が始まっている。

一方、イーロン・マスク氏は先日、xAIのGrokがアップルのApp Storeで常にChatGPTの後塵を拝し、定番アプリの一覧にも含まれないことに対して不満を述べ、アップルに対して法的措置を講じるなどと脅し文句を投げかけている(アップルはApp Storeは公平だと主張した)。

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