スマートホーム製品の成否を握るカギでもあり

声だけでiPhoneが操作可能に? アップルが「次世代Siri」を大手アプリでテスト中か

多根清史

Image:Piotr Swat/Shutterstock.com

アップルがUberやAmazonなど一部の大手サードパーティアプリと協力し、改良版の次世代Siriをテストしていると報じられている。

BloombergのMark Gurman記者によれば、アップルはWWDC 2024で発表したアップグレード版「App Intents」を活用し、ユーザーが音声だけでアプリ内操作を正確に指示・実行できるようにすることを目指している。具体的には、特定の写真の検索・編集・送信、Instagramへのコメント投稿、ショッピングカートへの商品追加、サービスへのログインといった操作をSiriが代行できるという。

当初は2024年内の提供を予定していたが、技術的課題により2026年まで延期が発表された。今回の報道では、自社アプリに加えUber、AllTrails、Threads、Temu、Amazon、YouTube、Facebook、WhatsAppなどの大手アプリと協力してテストが進められているとされる。なお、医療や銀行など機密性の高い分野では機能制限や除外も検討中とのことだ。

全面刷新されるSiriは、ユーザーの個人コンテキスト理解、画面上の状況認識、アプリごとの細かな操作をAIで強化し、iPhoneやiPad、MacだけでなくApple Vision Proにも対応する。ティム・クックCEOは7月末の決算説明会で「パーソナライズされたSiriは順調に進捗している」と述べ、2026年リリース予定を再確認した。公式な時期の明言はないが、Gurman氏は2026年春のiOS 26.4アップデートの一部になると報じている。

新しいSiriとApp Intentsは、将来的にスマートホーム機器(通称「Home Pad」)での利用も想定されており、音声操作体験を大幅に進化させる技術と位置づけられている。逆にこれらの機能がなければ、競合のスマートデバイスに比べて魅力を欠く可能性があり、このため噂されていたスマートディスプレイの発売も1年延期されたとされる。

アップルの狙い通りに進めば、新Siriは声だけで多様なアプリ作業を代行できる汎用インターフェースへと進化し、iPhoneを真のハンズフリー機器へ変える可能性がある。これまでスマホ向けAI分野で他社に大きく遅れを取ってきた同社だが、一気に巻き返しを図ることになるかもしれない。

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