メディア向け体験会の模様もレポート
パナソニック、電動歯ブラシ「ドルツ」8年ぶりフルモデルチェンジ。歯周ケア機能が強化

パナソニックは、歯間フィットブラシとW音波振動を採用した電動歯ブラシ「ドルツプレミアム」の最上位モデル「W音波振動ハブラシ スマート(EW-DT88)」を、9月上旬より発売する。価格はオープンだが、予想実売価格は税込48,500円前後。
カラーバリエーションはシルバー、スペースブラックの2色を展開する。本稿では、7月30日にパナソニックビューティー表参道にて開催されたメディア向け体験会の模様をレポートする。
パナソニック電動歯ブラシ「ドルツ」が8年ぶりにフルモデルチェンジ
「W音波振動ハブラシ スマート(以下、EW-DT88)」は、8年ぶりのフルモデルチェンジを図った同社電動歯ブラシ「ドルツ(Doltz)」シリーズの新フラグシップモデル。昨今オーラルケアの意識向上によって歯間ケアのニーズが高まっていることなどを背景に、歯間ケア機能の強化をはじめとした各種アップデートを施している。
ドルツ独自の2方向の高速振動を実現する「W音波振動機能」と、本機能のために新開発された「歯間フィットブラシ」を採用。このW音波振動と歯間フィットブラシの組み合わせにより、歯間の歯垢除去力200%を実現したとアピールする。なお、今後は本製品含むW音波振動を備える電動歯ブラシを「ドルツプレミアム」と定義して展開していくとのこと。

W音波振動機能のアップデートとして、歯と歯ぐきの境目に沿って横方向に動く「リニア音波振動」と、磨きづらい歯間に入り込むタタキ動作をする「新フロス音波振動」の組み合わせを採用している。
リニア音波振動では、約31,000ブラシストローク/分で歯周ポケットや歯面の歯垢を除去。新フロス音波振動では、前世代機(EW-DT73)の約12,000ブラシストローク/分から約20,000ブラシストローク/分に向上し、歯間に入り込んで歯垢をかき出すとのこと。この小刻みで立体的な2つの動きを同時に発生させることで、手磨きでは不可能なブラッシングを実現したという。
そして、先端の2列に山切り植毛を施した、新開発の歯間フィットブラシを採用する。極細毛とひし形毛をハイブリッドに植毛することで、磨き残しの多い歯間や奥歯の奥まで効率的に歯垢を除去するとしている。
また、厚さ約3mmの薄型ヘッドにより奥歯の狭い箇所にもしっかりと届くほか、約2.5mmの段差を備えることでデリケートな歯周ポケットに必要以上に極細毛が入り込むのを抑制、そして極細毛によって歯と歯のすき間や歯周ポケットにもしっかりと毛が入り込むとしている。


さらに、歯間フィットブラシの識別マークは全部で4種類を用意し、1台の本体を家族で使う際には別売の替ブラシに付いている識別マークによって複数のブラシを区別できる。なお、本体には○マークのブラシを1本付属。別売りの替えブラシは2本入り・4本入りの2種を用意する。ブラシの交換時期は約3か月ごとを推奨している。

本体は、細く狭い胴体に2つのモーターを配置するため、小型で高性能な「フロスモーター」を新採用し、機構設計を見直すことでスリム化を実現。欧米人と比較して小さい日本人の手でも持ちやすく、狭い口内も磨きやすいデザインに仕上げたとする。
また、持ち手の下部をシェイプさせることで、手のひらにしっくりなじむフィット感を実現したほか、本体質量が約95gと従来機から軽量化も図られており、磨いている際の負担も軽減する。


機能面では、磨き角度や動かしすぎ防止、押しつけ防止などをブラシ柄が光って知らせてくれるブラッシングナビ機能を搭載。歯周ポケット磨きに適切な45度に近づくと青く点灯、押しつけ防止にブラッシング圧が強すぎると赤く点灯、動かしすぎ防止に必要以上にブラシを動すと黄色く点灯するなどして、各状態をユーザーに知らせてくれる。
なお、従来機のブラッシングナビ機能では本体のリングが光るのみだったところ、ユーザーからの「磨きながらだと色が視認しづらい」といった声を受けて、EW-DT88ではブラシの柄まで光るようになった。これにより、磨いてる際の色の視認性が向上し、ブラッシングの質を向上したと謳っている。


全4種の多彩なモード+カスタムモードも搭載。異なる2方向のモーターが歯周ポケットや歯間などの細かいすき間まで届く「Wクリーンモード」、Wクリーンモードより磨き感を抑える「Wガムモード」、1mm幅の細かな振動で歯面や歯周ポケットの汚れに届く「クリーンモード」、クリーンモードよりも磨き感のやさしい「ソフトモード」の4モードをサポートする。
加えて、歯ぐきに対して特にやさしく磨きたい際などに活用できる、専用アプリ「ドルツ」の「モード/コースの各種設定」で設定可能なカスタマイズ(センシティブモード)も備えている。WクリーンモードとWガムモードは強さを3段階から選択が可能。各種モードは本体のモードボタンからワンタッチで切り替えられる。

専用アプリでは、磨きかたをリアルタイムでチェックして適切な磨き手順や磨きかたのコツをガイドする「歯磨きサポート」、気になるところをやさしく磨くなど自分専用のコースにカスタマイズできる「磨きかたカスタマイズ」、日々の歯磨きを記録して歯磨きの傾向を振り返ることができる「歯磨きデータの記録」、質問に答えると最適なブラシを見つけたり交換時期を知ることができる「ブラシ選び・交換」などを利用できる。
そのほか、次の磨きポイントに移るタイミングを知らせる「磨き時間お知らせタイマー/磨きポイント切替お知らせ」、前回使用したコースやモードを記憶し、次回も記憶したコース・モードからスタートできる「コース・モード記憶機能」を搭載する。
連続使用時間は、Wクリーンモード・Wガムモード時で約11日間(約45分)、その他のモード時で約16日間(約66分)。6分間の充電で1回分(約2分間)磨くことができる急速充電にも対応する。なお、連続しての急速充電は不可となる。
本体はIPX7規格の防水性能に準拠する。外形寸法は約24W×233H×26Dmm、本体質量は約95g(いずれもブラシ含む)。付属品として、歯間フィットブラシ、トータルケアブラシ、極細毛ブラシ(コンパクト)、極細毛ポイント磨きブラシ、携帯ケース、ブラシスタンド、充電スタンド(USBプラグType-A)、本体スタンドを同梱する。

メディア向け体験会レポート。オーラルケア商品の市場規模拡大をアピール
メディア向け体験会では、冒頭にビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルビジネスユニット パーソナルブランド・マネジメント部 オーラルケア商品企画課の光安 優花氏が登壇し、昨今のオーラルケア市場のトレンドについて解説した。
光安氏は、近年の厚生労働省が推進する国民全体の健康寿命を伸ばすことを目的とした国民運動や、スマート・ライフ・プロジェクトの発足、国民皆歯科検診の具体化の方針が示されるなど、「健康寿命」「オーラルケア」に対する啓発が進んでいると説明。これらが追い風となり、オーラルケア商品の市場規模は2030年までに大幅に伸長すると見据える。

また、昨今のオーラルケアに関して、特に歯周病ケアに関心を寄せている方が多いと指摘。歯ブラシでは取り切れない歯垢の汚れを落とすということが重要視され、フロスや歯間ブラシなど使用した日常的な歯間ケアの実施率は年々向上。電動歯ブラシの購入重視点においても「歯間がよく磨けること」がトップであることを挙げた。

そしてドルツの歴史は、歯周ケアの挑戦の歴史であったと強調。1977年の電動歯ブラシ1号機にはじまり、40年以上にわたって歯周ケアに向き合い、商品開発を続け、そのなかでたどり着いたのが、歯と歯ぐきに沿って動く「横磨き」であったとアピールする。

これまでドルツは時代のトレンドに合わせて、虫歯予防に向いている回転式や、縦磨きの商品なども発売しながら、現在のドルツの上位機種では、歯周ケアに最適な歯と歯ぐきに沿った横磨きの駆動を採用するに至っている。
現行のドルツでは、独自のリニアモーターを搭載することで、歯面はもちろん磨き残しの多い部位まで隅々を優しく磨き上げ、手磨きが毎分約300ストロークと言われるなか、ドルツでは毎分約31,000ストロークと約100倍のストロークを実現。また、歯科医師も理想的な動きと考える約1mmの細かい振幅もドルツの特徴の一つであるとアピールした。

開発者によるトークセッション。手磨きと電動歯ブラシによる汚れ比較デモも
続いて、ビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルビジネスユニット パーソナル商品部 オーラル商品設計課の前川 和也氏、プロタクトイノベーション本部 デザインセンター AD2部 パーソナル課の山村 有史氏、ビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルビジネスユニット パーソナル商品部 オーラル技術開発課の中崎 真太郎氏が登壇し、約8年間にわたる開発秘話について語るトークセッションが行われた。
まず独自のW音波振動について前川氏は、「W音波振動は、歯周ポケットに入り込む横の動きと下に入り込むタタキの動き、この2つの方法の細かい振動を同時に発生させることができるパナソニック独自の技術。これは手磨きにはできないブラッシングだと言える」と強調。本技術は現在特許出願中の段階であるという。

そして、もう1つのポイントが本体のスリム化にあるとして、デザイン設計を手掛けた山村氏は、8年ぶりのフルモデルチェンジにあたってユーザーの使用実態の調査を徹底的に行ったことを明かす。
「具体的にはテストユーザーの頭にカメラを付けてもらって、実際に歯を磨いてもらった。そうすることでこのシーンはすごく磨きづらそう、この時は持ちづらそうといった細かい分析が行えた」と振り返る。
その調査結果において多く共通していた「電動歯ブラシはゴシゴシと磨かない」「(本体の)重心のバランス的に下の歯を磨く方が多い」という点を踏まえ、本体をより細くして奥歯の奥まで入りやすくしたほか、下部の形状を手の形にフィットするよう下に絞っていく形状にするデザインを考案したのだという。
本体のスリム化にあたっては、内蔵する2つのモーターの配置構成も重要であったと山村氏。今回はリニアモーターとセカンドモーターを前後ではなく上下に配置する構成とし、モーター自体もより小型化した新モーターに刷新するなど、構造全体をイチから見直したそうだ。


歯間フィットブラシについて話がおよぶと、中崎氏は「ブラシの配列は、土台となる形状から毛の種類、太さ、長さ、穴の配置や植毛の本数など無限の組み合わせの中から、約1年間試作品を何度も作り続けてこの形にたどり着いた。パナソニックとしてのノウハウが詰まっているので、ぜひ体感してもらいたい」と笑顔で語った。
続いて山村氏は、「このブラシは同社独自のW 音波振動を最大限に引き出すために新たに開発した専用のブラシ。このW音波振動とブラシの進化によって歯間の歯垢除去力200%を実現できたのは、このチームで取り組んだことによる最大の成果だと思う」と力強く述べた。

ブラッシングナビ機能について中崎氏は、「プラークや歯垢は粘着質はあるものの、ある程度毛が当たればちゃんと取れるので、ゴシゴシと強い力はいらない。割と電動歯ブラシを使われている方でもゴシゴシと磨く方がいらっしゃるので、電動歯ブラシの特性を効率的に活かすために正しい磨き方をサポートするのがこのブラッシングナビ機能」と説明。
また、今回新たに視認性向上のためブラシまで光る仕様になったことについては、「ブラシまで光らせるためにブラシ自体を透明化した。これも中々難しい設計で、柄の透明化にいたるまでに約3年間をかけてなんとか実現できた」と力を込める。

最後に前川氏は、「今回の開発にあたっては手に余るほどの新規要素がたくさんあったが、チーム全員であらゆる手を尽くして、もうこれ以上ないというぐらい絞り込んで細かい状態まで詰めこんだ。これまでにない手馴染みの良さと、進化したW音波振動の磨き感をぜひ楽しんでほしい」と締めくくった。
イベント終盤では、実際にEW-DT88の実機と電動歯ブラシ用歯磨き粉を使用しての体験コーナーを用意。余計な力を入れなくとも細かい振動によって歯の奥まで磨かれている感じが体感できたほか、ブラシ柄全体が光るブラッシングナビ機能の視認性の良さが実感できた。
また、通常の歯ブラシによる手磨きと、W音波振動を備えるEW-DT88での汚れの落ち方を比較するデモも実施。顎模型の上顎外側(唇側・頬側)に蛍光色の人工プラークを塗布し、手磨きとEW-DT88でそれぞれ約40秒間ブラッシングした結果、まだ磨き残しがみられる手磨きに加えて、EW-DT88で磨いた方はきれいにプラークが取れている様子が確認できた

