セキュリティ、なりすましには懸念も
Twitter創業者のインターネット不要メッセージアプリ「Bitchat」App Storeで正式公開

Twitter共同創業者、元CEOとして知られるジャック・ドーシー氏が、Bluetoothの通信可能範囲内にいるユーザーとのみやり取りできるメッセージアプリ「Bitchat」をApp Storeでリリースした。このアプリは発表当時、開発者向けのApple TestFlightにのみ公開されていた。
Bitchatは、Bluetooth通信でメッシュネットワークを構築して動作する。つまり、ユーザーは携帯電話通信網やWi-Fiへのアクセスがなくても、Bluetooth接続範囲内 (最大100m) にいる、他の同アプリユーザーにメッセージを送信できるしくみだ。
アプリを起動するとログインなどの画面もなくすぐにメッセージ送信画面が表示される。もし、Bluetoothの通信範囲内に同アプリのユーザーがいれば、そのユーザーのこれまでのメッセージを確認することができる、また、自分の表示名を設定から変更することも可能だ。

ドーシー氏は、今月初めにBitchatのベータ版を発表した際、このアプリを安全でプライベートなメッセージングプラットフォームだと宣伝した。ただセキュリティ専門家のアレックス・ラドセア氏は、自信のブログ記事で、このアプリがバイブコーディングによって制作されたこのアプリの潜在的なセキュリティの問題や、なりすましの容易さについて指摘している。
ラドセア氏は「暗号技術では、細部が重要だ」「一見正しいプロトコルでも、根本的な欠陥があれば、本来守るべきもの全てが損なわれる可能性がある」と述べている。
ドーシー氏も、ベータ版リリースからしばらくして、このアプリが第三者によるセキュリティ審査を受けていないため、脆弱性が含まれている可能性があることを認めた。
なりすましに関する懸念はアプリそのものにもある。記事執筆時点でこのアプリはApple App Storeでのみ正式に公開されており、GoogleのPlayストアには登録されていない(GitHubから入手可能)。だが、Playストアを検索すれば、ドーシー氏を装った複数のアプリが、延べ数旋回もダウンロードされているという。ドーシー氏は、自らはニセBitChatアプリに減給していないものの、「偽物にご注意」と模造アプリについて警告するユーザーの投稿を再投稿した。
ちなみに、Bluetoothを使ったインターネット不要のメッセージアプリはジャック・ドーシー氏が最初に考案したものではない。たとえばBitChatと同様のBluetoothメッセージアプリ「Bridgefy」は 、インターネットのない環境でも機能し、当局による検知が困難であるため、香港で民主化デモが激化していた当時、ユーザーたちが当局による検知を逃れつつコミュニケーションをとるためによく使われていた。
- Source: App Store
- via: TechCrunch