反ポルノ団体は今後も圧力をかけると明言
Steamに続く“成人向けゲーム”規制。itch.ioも突如非表示、背後にクレジットカード会社等の圧力

インディー系ゲーム配信プラットフォーム「itch.io」は、成人向け(NSFW)コンテンツを、検索や一覧表示ページから突如非表示にした。創設者のLeaf Corcoran氏はブログ記事で、これがクレジットカード会社など決済プロバイダーからの要請や懸念に応じたものであると説明している。
今回の対応は販売クリエイター側への事前告知もなく、突発的な措置となった。Corcoran氏はこの行動が「突然で破壊的」と理解しつつ、引き起こされた怒りや混乱について「心からお詫び申し上げる」とコメントしている。
これはプラットフォーム存続に不可欠な決済機能を維持するための「緊急措置」とのこと。運営側は決済業者のガイドライン遵守に向けたコンプライアンス強化策を導入予定であり、審査の結果によっては一部コンテンツやアカウントが恒久的に削除される可能性もあると警告している。
今回の背景には、VisaやMastercardなど大手クレジットカード会社や決済業者が、違法・過激な成人コンテンツへの規制を強化している事情がある。
これに先立ち、Steamもコンテンツガイドラインを更新し、「決済処理業者やクレジットカードネットワーク(例:Visa/Mastercard)が定める基準に抵触するゲーム」はプラットフォーム上で配信できないと明記した。この新ルールに基づき、成人向けゲームが数百タイトル規模で削除される事態となっていた。
こうした動きは、実は数年前からあった。かつてTumblrは成人向けコンテンツを許容していたが、2018年に全面禁止に踏み切った。主な理由は、クレジットカード会社など決済業者の規制や法的リスクであると報じられていた。
今回の直接的なきっかけは、オーストラリアの反ポルノ団体Collective Shoutが、一部の成人向けゲーム(近親相姦や性的虐待をテーマにしたもの)を強く批判し、クレジットカード会社に公開書簡を送り、決済取引の停止を訴えたことである。実際に同団体の共同創設者Melinda Tankard Reist氏は、自らのキャンペーンにより何百ものゲームが削除されたと成果を強調し、さらに未削除タイトルが残っているとして活動継続を表明している。
クレジットカード会社の基準に従ってゲームを削除することは「金融検閲」と呼ばれるが、根本的には過激な市民団体(Reist氏は「脳が腐ったペドゲーマーフェティスト」と罵倒している)が表現規制を加速させようとする動きがある。
これに対してSteamユーザーや開発者は、決済会社やアクティビストによる表現規制への危機意識を強め、Change.orgなどで3万件以上の反対署名が集まるなど抗議運動が広がっている。