メシはうまいそうです

テスラの飲食店「Tesla Diner」がオープン。しかしポップコーン担当のOptimusは初日からフリーズ

Munenori Taniguchi

Image:Stonk King/X

7月21日、米ロサンゼルスのウェストハリウッドにオープンした、レトロフューチャリスティックな雰囲気のレストラン「Tesla Diner」。この店には、開店初日から大勢のテスラファンや何事かと興味を持った歩行者が集まり、活況を呈した。

しかしそんななか、ポップコーンを容器に取り分けて客に手渡す役割を担当していたヒューマノイドロボット「Optimus」が、どういうわけか突然停止。フリーズ状態に陥ってしまう様子が、SNSを通じて拡散されてしまった。

Optimusが一般人の前に披露されるのは、Cybercab発表イベントのとき以来であり、予定通りに動作すれば、人々に多少は感銘を与えられたかもしれない。

ただし、やはりこの日もOptimusは人間のオペレーターによって遠隔操作されており、現地のテスラ従業員もそのことを来場客に対して伝えていた。

https://twitter.com/StonkKing4/status/1947890081374859654

遠隔操作にもかかわらず、ポップコーンを取り分けている最中のOptimusがフリーズしてしまったことは、このロボットが設計上、とりあえず動作するというレベルのものであることを指している可能性が考えられる。

テスラのCEO、イーロン・マスク氏は、Optimusが業界最先端のロボットであり、テスラに年間「数兆ドル」の利益をもたらす革命的な製品だと宣伝してきた。

しかし先日には、テスラのOptimusプログラム責任者だったミラン・コヴァック氏が、副社長に就任してまだ数か月というタイミングで会社を去ってしまった。

さらに今月に入ると、テスラがOptimusに必要なアップグレードを行うため、このロボットの生産を一時停止することとなった。

伝えられるところでは、作業用として工場に導入されたOptimusの運用によって、関節モーターの一部に過熱の問題があり、今月の生産停止はそれらを改善するためだと考えられる。たとえば、物をつかむ手の力が弱く重い物が持てない、トランスミッション部品の寿命が短い、バッテリー駆動時間が短いといった様々な問題が露呈している。

Optimusをテスト導入した工場では、現在は「バッテリー工場でバッテリーを移動させるためだけに使用されており、効率は人間の労働者の半分以下」という、残念な状態になっている。

テスラは数か月前より、Optimusがすでに工場内で有用な作業を行っており、2026年にはその生産量を月間10万台に増やし、販売を開始する計画だと主張していた。だが、実際にはそうなっていない。テスラの株主以外にこの話を信じる人は多くないため、大して問題にもなっていないようだ。

ちなみに、中国Unitreeはすでにヒューマノイドロボットを販売しており、米FigureはTeslaから人材を引き抜いて製品をさらに進化させている。Boston Dynamicsを初めとするライバル企業も数十社あるなかで、テスラの印象はそれほど大きいとは言えないのが実際のところだ。

ただ、今後もマスク氏が株主向けの業績報告などでこのロボットの計画について何かを語れば、投資家たちは喜んで株を買うだろう。テスラにとってはそれで十分なのかもしれない。

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