グローバル発表会現地レポート

東南アジア注力のファーウェイ。可変望遠&大型センサーのカメラ特化スマホ「Pura 80 Ultra」を投入

編集部:平山洸太

「HUAWEI Pura 80 Ultra」

ファーウェイの最新スマートフォン「HUAWEI Pura 80」シリーズのグローバル発表会が、タイ・バンコクで開催。マレーシア、シンガポール、ベトナム、そして日本など、アジア太平洋地域のメディアが集うなかで製品が披露された。

今回発表されたスマートフォンは、シリーズの最上位モデル「HUAWEI Pura 80 Ultra」、およびそれに次ぐ位置づけの「HUAWEI Pura 80 Pro」「HUAWEI Pura 80」。合わせて、タブレット端末「HUAWEI MatePad 11.5」も発表された。価格はPura 80 Ultraが49,990バーツ(約22.8万円)、Pura 80 Proが38,990バーツ(約17.8万円)。その他モデルの価格は後日発表予定としている。

いずれも6月11日に中国国内で発表、今月11日にドバイで開かれた発表会でグローバル展開が予告されていたモデル。なお、発売が決定したのはタイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、カンボジア、シンガポールといった東南アジア地域となっており、日本への展開は未定だ。

左から、Pura 80 Ultra、Pura 80 Pro、Pura 80

HUAWEI Pura 80シリーズは、同社のカメラフラグシップという位置づけである“Pura(ピュラ)シリーズ”の最新世代。6月11日に中国で発表されたモデルの東南アジアにおける展開が、ついに開始される格好となる。中国ではもう1機種、「Pura 80 Pro+」というモデルがリリースされているが、ドバイでのイベントと同様、こちらについては言及されなかった。

望遠にも大型センサー搭載の最上位「Pura 80 Ultra」

最も注目したいのが、やはり最上位モデルのPura 80 Ultraだろう。そのなかでも大きなトピックと言えるのが、業界初を謳う、1つのユニットで3.7倍と9.4倍の光学ズームを両立させたという望遠カメラだ。

カメラ部分。写真下側が望遠カメラ

本機の望遠カメラには、同社「P30」で業界初採用されたペリスコープ方式を採用。これは、スマートフォンを薄くするにつれ短くなってしまう焦点距離に対して、プリズムを用いて光を横に曲げることで対処したものだ。本機もこの方式を採用しつつ、内部のプリズムをスライドさせることで2種類のレンズ前玉を切り替える仕組みを導入し、2通りのズーム倍率を実現している。なお、プリズムと同時に遮光板も動くことで、使わない方のレンズに光が入るのを防いでいる。

プリズムをスライドさせる仕組み
ペリスコープのユニット部分

なぜこのような仕組みを採用したのか。担当者によるとスペースを効率良く使い、大きなセンサーを搭載するためだという。本機には、望遠では業界最大という1/1.28インチのイメージセンサーを搭載。競合モデルと比較して8倍多くの光を取り込めるそうだ。同社では、実に25%ものスペースを節約させたと説明している。

なお、3.7倍と9.4倍の望遠レンズは同じセンサーを使用しているものの、カタログ上の画素数が異なっている(数値は後述)。担当者に確認したところ、9.4倍のときはセンサーをクロップして使っているとのこと。デフォルトでは両方の倍率で約1200万画素で記録されるが、約4800万画素で記録するハイレゾモードは3.7倍でしか利用できない。また、4画素を1つとして使うピクセルビニングは3.7倍望遠時しか利用できないこともあり、画質的には3.7倍のほうが9.4倍のときよりも高画質だという。

実際にカメラアプリを立ち上げて望遠のズーム倍率を切り替えてみたところ、切り替えの際には軽く本体が振動しつつ、シームレスに拡大される。切り替えた際に遮光板がスライドする様子も、やや見づらいものの外から確認できた。また望遠カメラは、3.7倍のときに5cmまでのテレマクロが利用可能。デジタルズームは最大100倍で、9.4倍のカメラに切り替わった後、さらに拡大していく格好となる。

テレマクロの撮影例
3.7倍時の撮影例
9.4倍時の撮影例

背面カメラは3眼構成で、望遠のほかにメインカメラと超広角カメラを備えている。メインカメラには1インチのイメージセンサーを搭載し、競合モデルと比較して198%多くの光を取り込めるとのこと。F1.6〜F4.0の可変絞りも備えている。ダイナミックレンジは業界最高の16EVをアピールする。

カメラの画素数とレンズの絞り値は、メインが5000万画素/F1.6〜F4.0、超広角が1250万画素/F2.2、望遠カメラ(3.7倍)が5000万画素/F2.4、望遠カメラ(9.4倍時)が1250万画素/F3.6。いずれのカメラも手ぶれ補正に対応しており、メインがレンズシフト式、超広角と望遠がセンサーシフト式となる。150万チャンネルのマルチスペクトルセンサーも搭載する。インカメラは超広角で1300万画素/F2.0/AF対応。

超広角の撮影例
メインカメラの撮影例

ディスプレイは6.8インチの有機ELで、解像度は2848×1276ピクセル。1〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応するほか、1440HzのPWM調光、300Hzのタッチサンプリングレートを備える。第2世代のCrystal Armor Kunlunガラスにより、落下耐性を25倍、スクラッチ耐性を16倍高めているとする。

ディスプレイは6.9インチ

OSにはEMUI 15を搭載し、各種AI機能をサポート。たとえば写真編集では、AIを用いて不要な被写体を消去する「AI Remove」や、集合写真で各人物を最も良い表情に補正する「AI Best Expression」を搭載。動画撮影では、記録された音声から背景ノイズを除去して自身の声を際立たせられる「AI Noise Cancellation」も搭載する。

バッテリー容量は5170mAhで、最大100Wの急速充電、最大80Wのワイヤレス急速充電(HUAWEI ワイヤレス急速充電)をサポートする。メモリは16GB、ストレージは512GB。IP68/IP69の防塵防水性能を備えている。

「P」から「Pura」、そしてPuraをさらに進化へ

ファーウェイは“Pシリーズ”を2012年に投入して以降、12年間にわたって12機種を投入してきた。2024年にはその後釜としてPuraシリーズの初代モデル「Pura 70」シリーズをローンチ。同社はPuraシリーズを「大胆な想像力で新たな領域を開拓する新しいブランド」だと表現している。

PuraシリーズはPシリーズの後継にあたる

発表会でプレゼンを行ったDirector of Flagship Handsets GTMのPeter Liu氏は、Pura 80シリーズが「これまでにないカメラ機能、真にユニークなデザインとユーザー体験」を進化させたモデルだと説明。「全く新しいHUAWEI Pura 80シリーズで、私たちは再び状況を変え、変化を起こします」と自信を見せていた。

体験をより進化させたことをアピールする

残念なことに、現在ファーウェイは日本でスマートフォンを展開していない。今回のモデルも日本発売は未定とのことで、日本では実機に触れる機会もなさそうだ。タイのファーウェイストアには、Pura 80シリーズも早速展示されたほか、3つ折りスマートフォン「HUAWEI Mate XT Ultimate Design」も展示。ユニークな製品が多いだけに、日本でも取り扱いを復活させてほしいところだ。

「HUAWEI Mate XT Ultimate Design」

なお、Pura 80 Ultraの下位モデルとなるPura 80 ProとPura 80について、前者には6.8インチ、後者には6.6インチの有機ELディスプレイを搭載。両モデルとも最大120Hzの可変リフレッシュレートや1440HzのPWM調光など、Pura 80 Ultraと同様のディスプレイスペックが採用されている。

「Pura 80 Pro」
「Pura 80」

Pura 80 Ultraの目玉だった望遠カメラ性能は、Pura 80 ProとPura 80には搭載されない。カメラは両モデルとも3眼構成だが、Pura 80 Proは5000万画素の1インチセンサー、4000万画素の超広角カメラ、4800万画素の望遠カメラ(テレマクロ対応)となる。Pura 80は、メインが5000万画素で、1300万画素の超広角、1200万画素の望遠を搭載する。

F1.6〜F4.0の可変絞りは全モデルで対応しているほか、150万チャンネルのマルチスペクトルセンサーもPura 80 ProとPura 80に搭載。インカメラもUltraと同じく、1300万画素/F2.0の超広角でAFに対応する。

「Pura 80 Pro」
「Pura 80」

ほか、バッテリー容量は3機種共通で5170mAh。ただし充電速度は、Pura 80 ProがUltraと同様に有線最大100W/無線最大80Wなのに対して、Pura 80が有線最大66W/無線最大50Wとなっている。IP68/IP69の防水防塵性能も備えている。

若い世代から支持。タブレット新機種「MatePad 11.5」も登場

また発表会では、タブレット端末「HUAWEI MatePad 11.5」も合わせて発表された。本モデルは2.5K解像度のディスプレイを備えるタブレットで、反射を抑える「PaperMatte Display」を採用。前モデルからディスプレイの反射を60%低減させつつ、画面透過率を95%高めたという。

「MatePad 11.5」

同社アジア太平洋地域のシニアマーケティングマネージャーであるKelsen Tan氏は、同社のタブレット端末は若いユーザーに支持されており、ユーザーの61%が18歳〜30歳で構成されていると説明。そして、主にPCの代わりとして利用されており、仕事、勉強、そしてクリエイティブ用途に活用されているとのこと。今回のモデルでは、学生や若いプロフェッショナルクリエイターのニーズを満たすために設計したそうだ。

ディスプレイは86%の画面占有率をアピールしており、輝度は前世代から40%増加した600nit、リフレッシュレートは120Hz。また、DC調光と自動輝度調整といった目に優しい仕様を採用するほか、電子書籍モードも備える。

取り外しできるキーボードに対応し、PCレベルの快適なタイピングが行えると説明している。磁石でタブレットに固定・充電が行える第3世代のM-Pencilに対応し、手書きでのメモやお絵描き可能。AIによって、走り書きの手書き文字をきれいで読みやすくする機能も搭載する。

第3世代のM-Pencilに対応

手書きでメモできる「HUAWEI Notes」、お絵かきアプリ「GpPaint」、オフィスアプリ「WPS Office 2.0」といったアプリケーションをプリインストールする。バッテリー容量は10100mAhで、最大14時間のビデオ再生が可能。40Wの急速充電をサポートしている。本体の厚みは6.1mm、質量は550g。

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