お腹側からじゃダメでしたか

【動画】自分でバッテリー交換して働き続けるヒト型ロボット「Walker S2」

Munenori Taniguchi

Image:UBTech Robotics

中国ロボット大手のUBTech Roboticsが、ホットスワップ機能付きヒューマノイド(ヒト型ロボット)「Walker S2」を発表。バッテリー交換の様子を映す動画を公開した。

バッテリー駆動のロボットは、どんなものであれ、バッテリー残量が少なくなれば充電する必要がある。充電しなければ機能がいずれ停止してしまうのは、モバイル製品と同じだ。しかしUBTechの「Walker S2」は、ホットスワップ機能を搭載することで、充電によるダウンタイムをなくし、故障などがなければ限りなく与えられた作業をこなし続けられるという。

日本語で活線挿抜(かっせんそうばつ)と表記されるホットスワップとは、電源が入って機能している状態のまま、システムの一部を取り外したり取り付けたりできる機能のことだ。Walker S2は、バッテリーの交換にその機能を備えている。

普通に考えれば、バッテリーを抜いてしまえば電源が落ちてしまうと思われるところだが、このロボットは2つのバッテリーを装備し、交互に使うようにできている。そのため、問題なくホットスワップが可能なのだ。ベテランのパソコンオタクな人なら、1990年代に日本IBM・ライオスシステムが発売したThinkPad 235(チャンドラ2)が、デュアルバッテリーシステムによってホットスワップを実現していたのを思い出すかもしれない。

Walker S2は、作業用ロボットということで、バッテリー交換も自らやってのける。ロボットはまず背中側に手伸ばし、2つあるうち残量が減っているほうのバッテリーを引き出す。そしてバッテリーの向きを変え、充電タワーの空きスロットへと挿しこむ。次いで、逆の手順で充電済みのバッテリーをスロットから引き出し、自身の背中へと挿しこみ、これで交換完了だ。

ただ素人目線で言わせてもらえば、設計者はなぜ、Walker S2のバッテリー挿入口をお腹側にしなかったのかが疑問ではある。夜中に暗い倉庫で(ロボットとは言え)関節を不自然な方向に曲げて、体内から何かを取り出している姿は、かなりホラーチックだ。

また、気になるのは、バッテリー交換時のハンドユニットがそれ専用に見えるところ。ラインなどでの作業をこのままこなすのでないなら、バッテリー交換のためにグリッパー(ハンドユニット)を交換する必要があるかもしれない。ただそうなると、オペレーターがハンドユニットを交換するよりそのままバッテリーを人力で交換してしまうほうがてっとり早く本末転倒なので、なにか良い方法があるのだろう。

とはいえ、文字通り24時間365日働き続けるヒューマノイドにとって、工場や物流などの現場業務は天職だろう。SFの世界と現実の距離が、かなり縮まってきていることを感じさせる。使用する企業にとっても、ロボットが働けば働くほど、早期のイニシャルコスト回収が期待できる。

詳細は未発表だが、このロボットは人間と同様に歩行し、様々な作業をこなすよう設計されている。先代ロボットWalker S1を参考にすると、身長は約170cmになるはずだ。動画にはわずかに顔面が映っているが、センサーアレイの下にはフルカラーディスプレイが配置されており、生産ラインで働く人間の同僚に状態情報を提供する。

万が一、暴走した場合には、背中側にある緊急停止ボタンを押すと停止させられるようだが、このロボットは背中側にも手を曲げられるので、気をつけたほうが良いかもしれない。

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