これでも第1四半期からは減少しています

YouTube、中国・ロシア等のプロパガンダチャンネル1万件超を一斉削除

Munenori Taniguchi

Image:19 STUDIO/Shutterstock.com

YouTubeは「脅威分析グループ(TAG)からの最新情報」として、2025年4~6月(第2四半期)の間に、国家に関連した「協調的影響操作キャンペーン」とされる、中国やロシアなどと結びついたプロパガンダ目的のチャンネル約1万1000件を削除したことを明らかにした。

なかでも多かったのは中国に関連するチャンネルだ。その数は7700件以上に及び、主に中国語および英語で中国政府の立場を支持し、習近平国家主席を持ち上げ、米国の外交政策を批判する内容を配信していたという。

また、ロシア関連のチャンネルも2000件超を数え、ウクライナ支援からNATO批判、欧米への反対論調を含むコンテンツを多言語で拡散していたとのことだ。

さらに、削除措置は中国・ロシア以外の国のチャンネルも含まれている。イラン、トルコ、アゼルバイジャン、ガーナ、イスラエル、ルーマニアなどの情報操作アカウントも対象となった。

この取り組みは、YouTubeのThreat Analysis Group(TAG)が主体となって推進する、四半期ごとの定例透明性レポートとして報告された。第1四半期(1~3月)には約2万3000件が削除されていたので、第2四半期は約半数にまで削除対象となる件数は減少したことになる。

YouTubeには、米国を含む世界各国でニュースソースとして重視されるようになってきたという実情がある。Fox Businessは、米国におけるテレビのニュース番組よりソーシャルメディアをニュースソースとして好む人の割合が、2021年には55%だったのが、現在は72%に達していると伝えている。

ある調査では、米国人のソーシャルメディアにおけるニュース情報取得源として、Facebook、X、Instagram、TikTokを凌ぐ結果をYouTubeが示したと報告されている。そのため、政府や関係者による情報操作が影響力を持ちやすく、メディアプラットフォームとしての責任がより一層問われる格好になってきている。

YouTubeはFox Businessに対し、このような協調的影響操作キャンペーンへの対処は定期的かつ継続的な取り組みの一環だとしている。そして、今後も監視・解析を続け、プラットフォーム上の健全性を維持していく姿勢を示している。

なお、このような大規模な削除措置はYouTubeに限ったものではない。たとえばMetaは、先週、「スパムコンテンツ」対策の一環として、2025年上半期のあいだに、大手コンテンツ制作者になりすましたプロフィール約1000万件を削除したと発表している

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