ジョブズが初代iPadでやったことと逆

次期iPad Pro、前面カメラが2つに? 縦横どちらでもFace ID対応か

多根清史

Image:Farknot Architect/Shutterstock.com

次世代「M5」チップ搭載iPad Proには、2つの前面カメラが初めて搭載されると、著名ジャーナリストが主張している。

アップルの内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman氏によれば、次期M5 iPad Proには縦置き用の前面カメラが追加されるという。従来のiPad Proシリーズでは、前面カメラは本体の短辺(縦方向)中央に配置されていたが、現行のM4世代では長辺(横方向)側に移動した。

これにより、ランドスケープ(横置き)での利便性が増し、キーボード装着時やビデオ会議の際に目線をカメラに合わせやすくなった。一方で、ポートレート(縦置き)時にはFace IDによるロック解除がしづらくなっている。そこで新モデルでは前面カメラをもう1基追加し、どちらの向きでも自然なビデオ通話や自撮りが可能になるとされている。

この方針変更は、初代iPadが企画段階で「ポートレート向きとランドスケープ向き、それぞれで使えるようにDockコネクタを2基備える」という設計だったことを思い出させる。

結局この案は、スティーブ・ジョブズ自身が「選択肢が多すぎる」として却下し、製品版では縦方向の1基のみに絞られた経緯がある。次世代モデルはこの逆を行くが、今回は両方のカメラがベゼル内部に収まる設計のため、外観を損ねることはないだろう。

昨年のiPad Proシリーズは、有機ELディスプレイと大幅に薄くなったデザインへと刷新されたばかりである。今年の次期モデルは、M5チップとデュアルフロントカメラの搭載を主としたマイナーチェンジにとどまりそうだ。

なお、アップルのサプライチェーンに精通するアナリストMing-Chi Kuo氏は、M5 iPad Proの量産は2025年後半に始まると述べている。M4搭載モデルは2024年5月に登場しており、アップルはおよそ18か月周期でiPad Proを更新しているため、次期モデルは2025年9月か10月に発表・発売される可能性が高い。

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