Galaxy、Oura、Amazfit Helio、issinの違いとは?

注目高まる「スマートリング」4モデルを徹底比較! 機能、デザイン、使い勝手を試した

山本竜也

日本国内では、スマートウォッチほどには普及していないスマートリングだが、2025年2月にSamsungがGalaxy Ringを国内発売し、ニュースとして大きく取り上げられたことで知名度が若干アップした印象がある。

数年前はOura Ringくらいしかなかったスマートリングだが、最近ではOura RingやGalaxy Ringのほかにも、いくつかのメーカーから登場しており、選択肢が豊富になってきた。では、各スマートリングにはどんな違いがあるのだろうか。

今回、メーカーからGalaxy Ringを借りられたので、筆者が普段利用しているOura Ring Gen3、そしてAmazfit Helio Ring、issinのスマートリカバリーリングと比較しながら、スマートリングの機能を確認してみた。

左からGalaxy Ring、Oura Ring Gen 3、Helio Ring、スマートリカバリーリング
左からGalaxy Ring、Oura Ring Gen 3、Helio Ring、スマートリカバリーリング。Galaxy Ringは幅が7mmと細身で、指に装着してても邪魔になりにくい

スマートリングの基本機能

スマートリングは、指先で心拍数や血中酸素濃度、皮膚温度、活動量、睡眠やストレスなどの計測が行えるデバイスだ。各デバイスで精度的な違いはあると考えられるが、計測できる項目についてはほぼ共通している。

なお、スマートリングと聞いてEVERINGのような非接触決済機能を思い浮かべる人もいるかもしれないが、EVERINGには心拍などを計測する機能はなく、決済のみが可能だ。逆に、心拍などの計測が行えるスマートリングで、非接触決済機能を持つものは少なくとも国内では販売されていないはずだ。

EVERINGにはセンサー類は搭載されておらず、VISAのタッチ決済のみ利用可能

下記に、各スマートリングの主要な仕様をまとめてみた。なお、重量などはリングのサイズによっても異なるのだが、今回は利用したUS 10号サイズを実測した値を掲載している。

各スマートリングの主な仕様。Oura Ringのみフル機能の利用にはサブスクリプション(月額999円、または年額1万999円)が必要だが、他はサブスクリプションは不要というのが違いとしては大きい

これを見てもわかるように、各スマートリングの機能はほぼ横並びとなっている。もちろん、センサー精度の違いなどはあるのだろうが、ユーザーには基準となる「正確な値」を知る手段がないので、気にしすぎても仕方がない。

睡眠時間が実際には6時間30分だったとして、それが6時間10分と表示されるのか、6時間50分と表示されるのか、正確な値がユーザーにはわからない以上、気にしても意味はない。数値の正確さを気にするのではなく、長期的にデータを見て、「最近睡眠時間が少なくなっている」「よく眠れている」などの傾向を掴むような使い方に向いていると言っていいだろう。

Galaxy Ring。充電ケースにバッテリーを搭載しており、ケースさえ持ちあるけば電源がなくても充電が可能
Oura Ring Gen3にはHeritageとHorizonという2つのデザインがあるが、利用しているのはHeritageのほう。リング上部がフラットになっている
Amazfit Helio Ring
スマートリカバリーリング。充電ケースはあるが、バッテリーは非搭載

実際の計測データで比較検証

数日間、実際にスマートリングを装着してデータを取得。その中から、睡眠時間と歩数を下記にまとめてみた。

歩数と睡眠時間のまとめ。Helio Ringの7月13日の歩数がないのは、バッテリー切れでデータが取れていなかったため

睡眠時間に関しては、最大で1時間程度の差が生じているが、ベッドで横になっている時間を睡眠時間として計測するかどうかなども影響しているようだ。ただ、相対的な睡眠時間が長い、短いという傾向はおおむねどのデバイスでも一致している。

また、歩数に関してもどれも誤差の範囲といっていいだろう。これについては、装着している指も関係しているかもしれない。なお、Galaxy Ringは右手人差し指、Oura Ringは左手人差し指、Helio Ringが右手薬指、スマートリカバリーリングは左手薬指にそれぞれ装着している。

ハードウェアの機能的には各社横並びの印象だが、アプリ上でのデータの見せ方は、各社工夫がある。スマートウォッチを含め、数年前は計測データをできるだけ詳細に見せるのが一般的だったが、最近では、計測データそのものは見せずに、データを基にした統合スコアを表示するのが主流になっている。

それぞれのデバイスが採用している統合スコアと、その説明は下記の通りだ。

  • Galaxy Ring(エナジースコア):その日の心身の準備の度合いを測るものです。睡眠、活動、心拍数の分析結果は、翌日のスコアを算出するために使用されます
  • Oura Ring(コンディション):心身ともにどの程度回復したかを示し、アクティビティと休息の完璧なバランスをとるための指針になります
  • Helio Ring(レディネス):物理的エネルギー、認知エネルギー、温度、HRV、RHR、および呼吸の質の6つの異なる要素のバランスです
  • スマートリカバリーリング(リカバリー):リカバリーとは、身体がストレスや負荷にどれだけ適応し、回復できているかを示す指標です

詳しい計算方法が示されていないので、他の指標と比較しても意味はないのだが、一応、5日分のスコアをまとめてみた。

各社の統合スコアの値。スマートリカバリーリングの「リカバリー」は増減幅が非常に大きい

Galaxy Ring、Oura Ring、Helio Ringはあまり大きな変動はないのだが、スマートリカバリーリングだけは大きく変動している。説明によると、リカバリーは心拍変動、安静時心拍数、睡眠時間などをもとにしているとのことなので、この中では睡眠時間のウェイトが大きいのだろう。

Galaxy Ringの計測データは、Galaxy Watchと同じSamsung Healthで確認する
Oura Ringの計測データは、専用アプリのOuraで確認
Helio Ringの計測データは、Amazfitのスマートウォッチと同じZeppで確認する
スマートリカバリーリングの計測データは、体重計のスマートバスマットと同じ「ウェリー」アプリで確認できる

Galaxy Ring独自の機能

機能的には横並びだと書いたが、Galaxy Ringには他のスマートリングにはない機能として、ジェスチャー機能が備わっている。利用できるのはGalaxyスマートフォンとペアリングした場合に限られるが、装着した指でのダブルピンチ操作でカメラのシャッターやアラームの解除が行える。

このほか、リングのリモート追跡機能も利用可能だ。といっても現在位置がわかるわけではなく、最後にペアリングされた場所(最後にスマートフォンと同期した場所)を確認できるというものだ。あまり使い道はないと感じるかもしれないが、ジムで外してロッカーに置き忘れたといった場合には場所を把握できて便利かもしれない。なお、ペアリングが途切れたら通知をしてくれる置き忘れ防止機能も備えている。

Galaxy Ringは、Galaxyスマートフォンとペアリングした場合にはジェスチャーやリモート追跡などの付加機能を利用できる

まとめ

ここまで主要なスマートリング4モデルを比較してきたが、どのモデルを選ぶべきだろうか。

まず、Galaxyスマートフォンを使用しているのであれば、Galaxy Ringは非常に有力な選択肢となるだろう。ジェスチャー操作やデバイス追跡といった連携機能は、他のリングにはない大きな魅力だ。

Galaxy Ringは細身のため、邪魔になりにくい。Galaxyユーザーにはお勧めだが、価格がネックになる

一方で、スマートリングとスマートウォッチのどちらを選ぶかという視点も重要になってくる。Galaxy Ringの価格は6万円を超えており、ハイエンドクラスのスマートウォッチにも手が届く。夜間にスマートウォッチを装着することに抵抗がなく、毎日の充電が苦にならないのであれば、画面表示があり、より多機能なスマートウォッチの方が満足度は高い可能性がある。

また、今回比較したように、健康指標を計測するという基本的な機能に関しては、どのスマートリングも大きな差はなく、ほぼ横並びと言える。もちろん、アプリの使い勝手やデータの見せ方、Oura Ringのサブスクリプションの有無といった違いはあるが、決定的な差にはなりにくいかもしれない。

最終的には、毎日身に着けるアクセサリーとして、自分の好みに合うデザインで選ぶというのも、賢い選択方法の一つかもしれない。

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