Instagramと差別化して進化へ
2周年を迎えた「Threads」、進化の源は“ユーザーの意見”。急成長を支えるコミュニティの存在

Metaが運営するテキストベースのSNS「Threads(スレッズ)」がサービス開始から2周年を迎えた。これを記念し、現在の利用状況や傾向、そして今後の戦略についてメディア向けのイベントで語られた。
Threadsがローンチしたのは2023年7月5日。当初の構想として、「建設的で意味のある会話を安心して楽しめる、新たなテキストベースのプラットフォーム」として開発されたという。公開から5日で1億アカウントをグローバルで達成し、今年3月には月間3.5億のアクティブアカウントにまで成長。1年前から倍以上に増加したという。

プレゼンを行ったMeta グローバルパートナーシップスの山谷道裕氏は「アジア太平洋地域は活発にThreadsを使っている国が多く、日本はそのなかのひとつ」だと話す。そのため、日本は「Thredsとしても重要な国と位置づけられている」そうだ。
また、Threadsの使われ方の特徴としているのが、「一方的に発言をする場所ではなく、誰かの発言に返信をして会話のキャッチボールが行われている」(山谷氏)ということ。全体の閲覧数のうち、約50%を返信が占めているとのこと。そういったこともあり、山谷氏は「様々な興味関心をもつ人たちがコミュニケーションを行う場所」にThreadsがなりつつあると紹介した。

ユーザーのコミュニティは、ジャンルとしてはスポーツ、音楽、エンターテインメント、ファッション、お笑いが拡大しているという。利用状況のデータとしても、多くの人が注目するようなスポーツの大会であったり、有名アーティストの公演からフェスであったりといった、リアルタイム性の高い話題があると全体の会話量やエンターテインメントが増加するそうだ。
なお、日本ではこの1年、多くのコミュニティのなかでも、音楽やエンターテインメントに関する話題が特に注目を集めたとのこと。たとえば、アーティストの番組出演やライブ配信、当落の発表など。ファン同士の交流が盛んに行われているアーティストとしては、Mrs. GREEN APPLE、timelesz、Stray Kidsが具体例として挙げられた。
Metaとしても、よりコミュニティを盛り上げるようなサポートを行ってきた。7月25日からスタートするフジロックフェスティバルにおいても公式Threadsで様々な取り組みを実施しており、本番に向けて盛り上げを行っている。5月には、音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」とコラボし、Threadsを活用したキャンペーン「スレッズで推しPOP」も実施した。

当初はシンプルな機能から始まったThreadsだが、ユーザーの増加に伴い、その機能も拡充してきた。同社では主にユーザーからのフィードバックを拾うことで、機能を追加する方針を採っている。6月下旬にローンチした、文字や画像をぼかして投稿することでネタバレを防ぐ機能は、その典型的な例だそうだ。
また、DM(ダイレクトメッセージ)の機能も米国で7月1日にローンチし、日本でも来週から実装される予定だ。これまではInstagramに移動し、InstagramのDM機能を使う必要があったという。補足すると、Threadsの利用にはInstagramのアカウントが必要であることからも、両者は密接に連携している背景がわかる。

だが最近では、ThreadsはInstagramの延長線ではなく、独立したプラットフォームに成長しつつあるという。Threadsを利用するユーザーの3分の1が、InstagramとThreadsでフォローしているアカウントの大半が異なっている、というデータの裏付けも取れている。
そういったことからも、DM機能に対するユーザーからの要望があり、もともと予定しなかったDM機能を方向転換して追加することになったそうだ。現状はグループDMに対応していないなど制約もあるが、これもフィードバックをもとにアップデートしていく予定とのこと。また、Instagramと共有だったキーワードのフィルター設定も、現在ではThreadsで別々で設定できるようになっている。
今後はInstagramと差別化していくため、Threadsの機能である「マークアップ」(他の人の投稿にハイライトをつけて共有できる機能)をUIに取り入れるといったブランディングを行っていくそうだ。そして機能面においては、LLMを使っておすすめする投稿の質を上げたり、コミュニティに貢献しているユーザーのモチベーションになるような機能を増やしたり、クリエイター向けに投稿の分析機能を強化する計画があるとしている。

Threadsは「X(旧Twitter)」の対抗サービスとも言われ、急速にその知名度とユーザーを増してきた。同じく対抗とも言われる「Bluesky」とともに、それぞれがどのように進化をしていくのか、今後の展開に期待したい。