トランプ大統領はTikTok好き

TikTok、米国向け新アプリ「M2」開発中か。米中間の政治的圧力のなか苦肉の策

多根清史

Image:miss.cabul/Shutterstock.com

米国でTikTok事業の継続が危ぶまれるなか、同社が米国向けに、全く新たなアプリ「M2」(仮称)を開発中であると報じられている。

ニュースメディアThe Informationによれば、これは親会社であるByteDanceが米国事業を米国の投資家グループに売却する計画に合わせたものであり、早ければ9月5日に米国のアプリストアでリリースされる可能性があるという。

この計画が進めば、米国内のTikTokユーザー約1億7000万人は新アプリ「M2」をダウンロードしなければサービスを使い続けられない見通しだ。

現行のTikTokアプリは「M2」と並行して運営される予定であるが、2026年3月にはサービスを停止する計画とされる。もっとも、このスケジュールには変更の可能性があるとのことだ。

こうした動きは、米中間の政治的圧力への対応策である。先月、トランプ大統領はByteDanceに対して米国事業の売却期限を9月17日まで延長した後、「非常に裕福な人々のグループ」の買い手が見つかったと述べていたが、中国政府の承認も必要になるなど情勢は依然として不透明である。

そもそもTikTok規制法案が成立した背景には、TikTok側が米国ユーザーに対して法案に反対するようプッシュ通知を送り、かえって大きな反発を招いたことが決定打となった、という経緯がある。その後に大統領に就任したトランプ氏は、TikTokが選挙で若者票を集める助けになったと述べており、TikTok救済に動いたと見られる。

しかし新アプリ「M2」も、技術移転や知的財産の問題が絡む以上、中国政府の承認が必要となるはずであり、今後も不確実性が高い状況である。

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