インテルのSmart Baseテクノロジーを採用

E Ink、ノートPC用の「電子ペーパータッチパッド」を開発。省電力かつ多様な操作が可能に

Munenori Taniguchi

Image:E Ink

電子ペーパー開発企業のE Inkは、ノートPCのタッチパッド部分を電子ペーパー表示に置き換える、新しいタッチパッドを開発した。

ノートPCのパームレスト中央部分に配置されるタッチパッドは近年大型化しており、ポインティングデバイスとしての基本的な機能のほかにもピンチやスワイプといった機能、その他の追加機能をサポートするのがほとんどだ⁠⁠。一方で、このタッチパッドの位置にタッチ操作対応の液晶ディスプレイを埋め込み、ポインティングデバイスとしてだけでなく、PCのセカンドディスプレイとして機能するようにしたノートPCもある。

E Inkは、そのノートPCのパームレストの一角をより便利に、扱いやすくするために、カラー電子ペーパー使ったタッチパッドを開発したと発表した。

電子ペーパーをタッチパッドとするにあたり、E InkはインテルのSmart Baseテクノロジーを採用。ハードウェアとソフトウェアを連携させ、セカンドディスプレイとして使うことを可能としつつ、メイン画面の延長ではなく、文書作成中にAIが生成したテキストサマリーを表示したり、デスクトップウィンドウを切り替えずにAIチャットボットと継続的に会話したりできる、独立したワークスペースとしてこのデバイスを開発した。

具体的な用途としては、通知、ショートカット、天気予報、再生メディアなどのカバーアート表示といった、UIやコンテンツの表示が想定されている。また、いまやテクノロジー製品は無理矢理にでも客寄せの売り文句に「AI」を入れたいこともあり「カスタムAIタスクなどの生成AIコンテンツ」というよくわからない表現で、おそらくChatGPTなどのAI用ウィンドウにもなることをアピールしている。

もっとわかりやすく言えば、アップルがかつて推進したTouch Barに似た用途を、このデバイスは想定している。

しかも、Touch Barとは異なり、位置的にファンクションキーを犠牲にすることもなければ、電子ペーパーの特性として消費電力が少なく、デバイスの電源がオフになっているときでも、画像を無期限に表示しつづけられるのも、バッテリー駆動時間を少しでも延ばしたいノートPCには好都合だ。⁠

電子ペーパーは発光せず画面のフリッカーも生じない。キーボードのバックライトはそれほどでもないが、タッチパッドが液晶やOLEDだと、手元が明るく感じられて、どうも気になってしまうものだが、発光しない電子ペーパーならば、目にも優しいなど、まるで良いことずくめのように思える。

ただ、発表時点では、まだタッチパッドにカラー電子ペーパーディスプレイが採用されるという点以外に技術的な詳細は説明されていない。既存のパネルを採用するのか、それとも解像度を高めた全く新しい電子ペーパーパネルを開発するのかも不明だ。

生成AIに関する話も、電子ペーパー式のタッチパッドがノートPCのメインOSで駆動されるのか、独自のOSを搭載して動かすのかもわからない。そもそも、将来的にこれを搭載するノートPCメーカーがあるのか、いつ頃製品として発売されるのかなども明かされていない。

魅力的な部分もあるデバイスではあるので、いつ頃これを使った製品出てくるのかが早くわかるようになることを期待したい。

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