いつになるかわからないと「2週間」と言うのが口癖です

トランプ大統領、“TikTokの有望な買い手”発見と発言。「2週間後に詳細」

Munenori Taniguchi

Image:Luiza Kamalova/Shutterstock.com

6月29日、米国が中国ByteDanceに対し、国家安全保障上の懸念があるとして、ショート動画SNS「TikTok」の米国への売却を迫っている件で、トランプ大統領はFOXニュースのテレビ番組出演の際に「買い手が見つかった」と発言した。

大統領いわく、「買い手」は「非常に裕福な人々のグループ」で、中国側の承認が必要になるものの、「習近平国家主席がおそらくそれを承認すると思う」と述べた。

TikTokについては、バイデン政権時の2024年に可決された法律で、TikTokサービスを中国以外の企業に売却しない限り、米国内でTikTokのサービスを事実上禁止することが義務づけられている。

その最初の期限は、2025年1月のトランプ氏の第2期大統領就任直前にやってきた。ジョー・バイデン前大統領は1月19日にTikTok禁止法に署名し、TikTokもサービスを一時停止した。だが、トランプ大統領は就任後にTikTokの禁止期限を延期する大統領令を出した。それ以後も、トランプ氏は期限を迎えるたびに、一時停止措置を90日間延期することを繰り返しており、記事執筆時点での売却期限は9月17日になっている。

中国政府は以前、TikTokの売却取引にその「アルゴリズム」含めることを許さないことを示唆したが、それ以後は売却を承認する意思すら公に示していない。

今年4月には、TikTokの米国事業の過半数の支配権を米国に移管するための合意が、ほぼ成立したと伝えられていた。しかし、トランプ大統領の中国への追加関税の発表が重なったことで、合意はご破算になったと伝えられた。

今回のトランプ大統領の発言も、どこまで信じて良いかは疑問の声もある。大統領は「2週間ほどで詳しい話ができるだろう」と述べたが、同氏は何らかの発表をする際に、具体的に何かが決まっていないと「2週間後」と口走る癖がある。これはホワイトハウス周辺の人々には特に知られたことであり、一部では半ばジョークと化している。

たとえば2か月ほど前、ロシアのプーチン大統領を信頼できるかと問われたトランプ氏は、「2週間ほどしたらお知らせする」と答えている。過去には他にも、米国の税制計画、医療保険政策から、ISISとの戦い、新たな炭鉱の開設、各種インフラ計画、トランプ氏が真実だと主張する陰謀論の証拠にいたるまで、いずれもトランプ氏は「2週間で」回答すると約束した。これらの「2週間」はすべて、正しい意味の言葉に変換すると「後で」になると言っても過言ではない。

トランプ大統領は今年初め、TikTokの株式の50%を米国が保有するために合弁会社を設立する構想を述べ、オラクルの共同創業者ラリー・エリソンや、イーロン・マスクといった億万長者の友人たちが買収候補に名乗り出る可能性を示唆した。しかし、いまやトランプ大統領とマスク氏の信頼関係は崩れており、トランプ氏が今回見つけたという買い手候補に⁠マスク氏が関与する可能性は、今のところ低そうだ。

結局のところ、TikTokを買収するのは誰なのか、という疑問はいまも続いている。トランプ大統領がいつもの意味で言ったのではないのなら、2週間後にはそれが明らかになる。

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