VRRはソフトウェアアップデートで改善される可能性
Switch 2のディスプレイに専門家が苦言。VRRとHDRは「理論上対応」止まりか

Nintendo Switch 2は液晶ディスプレイを採用しているが、これを初代Switchの有機ELモデルからの後退とみる声もある。これに対して任天堂は、HDR対応や液晶技術の進歩、7.9インチへの大型化、フルHD解像度、最大120Hz対応といった表示性能の向上を挙げ、液晶採用は正しい選択であると強調している。それでも、実際の発売後にはディスプレイ品質に対する批判の声が強い。
これについて、ビデオゲーム技術分析の専門集団Digital Foundryが約2時間にわたるレビューの中で、複数の問題点を指摘し、「初代Switchよりも悪化した部分がある」と述べている。
今回の分析はハードウェア全般に及ぶ広範かつ詳細なもので、操作性や処理性能、バッテリー持ちなどは高く評価されている。
チップの微細化により電力効率が向上し、バッテリーの持続時間は初代(改訂前)よりも改善されている。また、内蔵ストレージ、カートリッジの読み込み速度、Wi-Fiや有線LAN通信の高速化も確認されている。
しかしながら、ディスプレイに関する評価は非常に厳しい。画面は大型化し、120Hz・VRR(可変リフレッシュレート)・HDRに対応とうたわれているが、実際には問題が多いとのことだ。
特に応答速度が遅く、2Dゲームや横スクロール時に残像やブラー(ぼやけ)が目立つ。これは2017年の初代Switchよりも悪化しており、有機ELモデルと比べると映像の鮮明さで明確に劣るという。
また、HDRに関しても最大輝度が400nits程度と低く、実用性は薄いとされている。Switch 2の液晶はエッジライト方式(ディスプレイの端にLEDを配置)であり、直下型方式のような均一かつ高輝度なバックライトが実現できていないため、深い黒や明るいハイライトといったHDR本来の魅力が再現できていない。
さらにカラーバランスも冷色寄りで、コントラストや発色もSwitch有機ELモデルに及ばない。VRRに関しても理論上は機能するが、実際のゲームでは十分に活用されておらず、とくに低フレームレート時の補正(LFC)には不完全さがあるとされている。
テレビへの外部出力にも課題が残っている。HDMI 2.1相当の出力が可能ではあるが、120Hz時の解像度制限、煩雑な設定、HDR表示の調整がわかりにくいといった問題が指摘されている。
ただし、「Nintendo Switch 2のひみつ展」でのデモでは、40〜120HzのVRRウィンドウとLFC(低フレーム補償)への対応が確認されており、理論上はフル機能のVRRがSwitch 2で実現可能とDigital Foundryは述べている。
もっとも現時点では、実際のゲームにおいてVRRが十分に機能しておらず、40fps未満になるとカクつきが発生するなど、理想的なVRR体験とは言いがたい。それでも、ハードウェア的な要件は満たされているため、「今後、任天堂が何らかの解決策を提供することに期待したい」と締めくくっている。
なお、マイクロソフトとASUSが共同開発した携帯ゲーミングPC「ROG Xbox Ally」シリーズも有機EL画面を採用していない。その理由は、有機ELとVRRの組み合わせによる高消費電力と、無視できない高コストであると説明されている。
Nintendo Switch 2についても、将来的に有機ELモデルが登場する可能性が取り沙汰されている。Switch 2が大ヒットを記録すれば、後継機やバリエーション展開により量産効果でコストが下がることが見込まれ、有機ELモデル登場の現実味も増すかもしれない。
- Source: Digital Foundry(YouTube)
- via: Wccftech