無印iPadもノートPC代わりに使えるように
iPadに“Mac風マルチタスク”登場まで10年以上かかった理由。アップル幹部が語る舞台裏

iPadOS 26では、ついに複数のアプリを同時に開き、サイズの変更や重ね合わせ、自由な配置が可能な新しいマルチタスクUIが導入された。これは、まさにMacと同様の操作を実現するものだ。
なぜ、iPad登場からこの機能が実現するまで10年以上もの歳月を要したのか。アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏が、そこに至るまでの長い道のりを説明している。
フェデリギ氏によると、マルチタスク実装が遅れた主な理由は初期ハードウェアの制約だ。初代iPadは、真のマルチタスクを実行できるほどの十分な処理能力がなく、一方でタッチ操作のレスポンスを完璧に保つ必要があったため、複数ウィンドウの同時操作は困難だったという。
2022年に導入されたステージマネージャーも、当初はハイエンドモデル限定だったため、古いiPadユーザーの不満を招いた。しかし、iPad ProがMac並みの性能に達するにつれ、技術的な障壁は解消されていった。ユーザーの使用スタイルも「トラックパッドやキーボードを少し多用するモードに移行した」として、Macに近づいたことを示唆している。
そしてiPadOS 26では、「古いハードウェアで一部制限があったとしても、できる限りすべての機能を解放することにした。なぜなら、需要が非常に高かったからだ」とのこと。新旧モデルでは開けるアプリウィンドウの数に差がある(古いiPadは4つまで、新機種はそれ以上)ものの、基本的には同じマルチタスク機能が使える。
刷新されたUIではMacの「信号型」(赤・黄・緑のカラーボタン)やメニューバーが搭載され、システムリソースを消費するタスクをバックグラウンドで実行する機能も追加された。ただし、Macと全く同じわけではなく、例えば、バックグラウンド処理はファイル転送のような一部タスクに限定され、常時動作するエージェントは許可されていない。
MacのUI要素を融合させつつも、iPadらしさも残すという。従来のシングルアプリUIやステージマネージャーも選択でき、ユーザーは好みに合わせた使い方ができるとのことだ。
さらにフェデリギ氏は、iPadを「真のコンピューティングの未来」と位置づけつつ、MacBook市場との競合を避け、iPadの能力を最大限に引き出す道を模索してきたことを語っている。その上で、iPadOS 26はiPadをプロの環境でより活躍させるための重要な一歩であり、多くの要望に応えるものだとされている。
これらのUIの変更は、AppleがiPadを「正当なノートPCの代替品」として位置づける上で重要な一歩となるだろう。ひいては、数年後に登場が噂される「MacBookとiPadのハイブリッド」という折りたたみデバイスの布石にもなりそうだ。
- Source: Ars Technica
- via: MacRumors