テレビに比べれば…とは言うものの
Amazon Prime Videoの広告、1年半で倍増したとの報告

Amazonは2024年1月にPrime Videoのベーシックプランに広告を導入したが、その際、広告が表示されるのは1時間あたりたったの2~3分半だとユーザーに説明していた。しかし、それから約1年半で、特に説明もなく広告表示回数は最大6分に倍増したとAdweekが報じている。
ADWEEKが検証したところによると、Prime Videoの現在の広告表示時間は1時間あたり4~6分となっている。これはCPM(広告が1000回表示されるのにかかる費用)の低下につながる可能性があり、広告バイヤーらはこれが視聴者の印象や体験にどのような影響を与えるかを注視しているという。
「Prime Videoの広告表示時間は徐々に増加し、1時間あたり4~6分になりました」と、今月初めにAmazonの担当者が広告バイヤーに宛てたというメール資料に記された文章をAdweekは紹介している。Amazonは、ユーザーには広告増加を告知していないが、昨年10月には投資家に本件を予告しており、急速に拡大するストリーミング事業全体で販売できる広告在庫が大幅に増えるとしていた。
D2C広告代理店Rain the Growth Agencyのスーパーバイザー、ケンドラ・タン氏は「広告掲載量は増加すると聞いていた」「最近システム内の広告数が増えていることに気づき、その通りだと分かった」と、Adweekに述べた。
Amazonは広告掲載量の増加に関する具体的な質問には回答しなかったが、声明ではより広範な広告戦略について言及し「広告の表示回数を増やすだけでなく、広告体験の向上に注力している」とした。
動画ストリーミングにおいて、映画や番組への集中を削ぐ広告はユーザーにとっては満足のいくものではないだろう。そのためPrime Videoは、月額3ドル(日本では月額390円)の追加料金を支払うことで広告を表示しない、広告フリーの設定も用意している。
Amazonは広告表示開始にあわせて、ベーシックプランからDolby AtmosやDolby Visionなどの付加価値も省略している。不満に感じるユーザーは広告フリーに移行させたい考えのようだが、これらについてもユーザーには告知していない模様だとEngadgetは伝えている。
なお、日本のPrime Videoのヘルプページでは「プライム会員のお客様は、一部のタイトルで4K Ultra HD、HDR(最高画質)10、HDR(最高画質)10 +などの高度なストリーミング品質をご利用いただけます。また、Dolby Visionとドルビーアトモスの機能は、一部のタイトルでPrime Video広告フリーのお客様にご利用いただけます」と記されている。
動画ストリーミングサービスへの広告導入はNetflixなど、業界全体の流れとなっている。いまはまだ、まったく広告を表示していないアップルでさえ、2023年にApple TV+に広告を表示する可能性に備えたチームの編成が伝えられていた。