現オーナーは本当に株を売るつもりかも?

イーロン・マスク「マンU買収する」ツイートで、チーム株価が17%も上がる騒ぎに

Image:Ververidis Vasilis/Shutterstock.com

Twitter買収契約から尻をまくって逃げ出したいはずのイーロン・マスク氏が、Twitterで英プロサッカー・プレミアリーグの名門チーム、マンチェスター・ユナイテッドを買収すると発言したことで、チームの株価が大きく変動する事態に発展した。

冷静にマスク氏のツイートの流れをみればわかることだが、このツイートはくだらない会話の中で飛び出したジョークだ。マスク氏の熱心なフォロワーでさえ、一部はこの発言に懐疑的な姿勢を示していたが、当のマンUファンは現在のチームオーナーであるグレイザー家に良い印象を持っていないため、本当にマスクが買収してくれるのではないか、という期待を持ってしまった。

2005年当時、レバレッジド・バイアウトによってマンチェスター・ユナイテッドを買収したグレイザー家は、この取り引きで発生した借金の多くをサッカーチームに背負わせ、さらにチームから大金を得ているとされ、忠実なファンの多くはオーナーを嫌っているとされる。

しかし、マスク氏はツイートに対して本気かとフォロワーにたずねられ「いいや、いつものTwitterでのジョークだよ。私はスポーツチームの買収はしない」と返答した。しかしすでにマスクのジョークの断片だけを切り取って入手した投資家たちは、マンUの株式を買いに走ったようだ。マスク氏の買収ツイートの直後から株価は上昇し、17%高の値を付けた。だが、マスク氏が冗談だと言っていることもあり、株価はその後すぐ、風船がしぼむように値を戻した。

ただ、記事執筆時点では、この英国の名門サッカーチームの株価は再び値を上げており、マスク氏の冗談ツイート後と同じぐらいの水準にまで上昇している。その理由は、マンUのオーナーたちが新たな投資家を迎え入れる可能性を探るための協議を暫定的に行ったとの情報が報道されたからだ。そのためにグレイザー家が少数ながら株を売却するかもしれないとの見方が広まっているようだ(その後、プライベートエクイティ投資会社のApolloがグレイザー家と独占交渉に入ったとタブロイド紙のDaily Mailが伝えている)。

Bloombergによれば、グレイザー家が本当に一部株式を売却するかはまだわからないとされ、グレイザー家もチームの所有権までは手放すつもりはない様子とはいうものの、マスク氏のジョークよりは信憑性が高そうな株式売却情報に、ファンらの間では期待が膨らんでいるのかもしれない。

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