今後は「性能よりバッテリー持ち」に路線変更?

iPhone 17 ProのA19 Proチップ、シングル性能はM4並みに? ただしマルチ性能は控え目か

多根清史

Image:Wongsakorn 2468/Shutterstock.com

今年秋に登場するとみられる「iPhone 17」シリーズのうち、標準モデルについては、搭載チップとRAMの両方が前モデルから据え置きになると予想されている。一方で、「Pro」モデルには新規設計のチップ「A19 Pro」が採用される見通しだ。

このA19 Proに関しては、シングルコアおよびマルチコアの性能推定値がリークされており、特にシングルコア性能はMacやiPad向けのM4チップに匹敵すると報じられている。

中国の著名リーカーである数码闲聊站(Digital Chat Station)は、Weibo上でA19 Proの推定スコアを投稿している。それによれば、定番のベンチマークアプリ「Geekbench 6」におけるシングルコアスコアは4000点以上、マルチコアスコアは1万点以上に達するという。これはA18 Pro比で約15%の性能向上となり、標準的な10コア構成のM4チップとほぼ同等の水準である。

ただし、マルチコア性能においてはM4の約1万5000点には及ばず、競合するAndroid向けのSnapdragon 8 Eliteと同程度に留まっている。この理由としては、A19 Proが依然として6コア構成(高性能コア×2+高効率コア×4)を維持している点が挙げられる。他社のハイエンドチップ、たとえばSnapdragon 8 EliteやDimensity 9400はいずれも8コア構成であり、その差が表れていると考えられる。

もう一つの要因は、アップルがパフォーマンスよりも省電力を重視している可能性である。同社はバッテリーの持続時間を強く意識しており、最新モデル「iPhone 16e」においても「6.1インチのiPhone史上最長」としてバッテリー駆動時間をアピールしていた

それでも、iPhone向けのAシリーズチップは、シングルコア性能において一貫して優位を保ってきた。しかしながら、今後登場予定の「Snapdragon 8 Elite Gen 2」や「Dimensity 9500」も、シングルコアスコアで4000点前後に到達すると予想されており、その背景にはARMの最新命令セット「Scalable Matrix Extension(SME)」およびTSMCの3nm(N3P)プロセス技術の導入があるとされている。N3PはA19 Proにも採用するとみられ、アップルの「TSMCの最先端プロセスを独占的に使える」強みは失われることになる。

A19 Proは高いシングルコア性能を実現するため、A18 Proよりもさらに高いクロック周波数で動作する可能性が高い。その裏付けとして、「iPhone 17 Pro」および「iPhone 17 Pro Max」には、チップの熱処理を改善する目的でベイパーチャンバー冷却システムが搭載されるとの噂も出ている

スマートフォン向けチップの製造プロセスは、微細化の限界が近づきつつあり、それに伴い「省電力か高性能か」という選択がますます厳しくなってきている。今後のiPhoneは、絶対的な性能トップを手放し、「1日バッテリー持ち」を重視する方向へと舵を切るのかもしれない。

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