OpenAIがマイクロソフト依存を減らす動き

OpenAIがGoogleとクラウド契約を締結。ChatGPTとGeminiの対立を超えて

多根清史

Image:JRdes/Shutterstock.com

OpenAIがGoogleとクラウドサービスの利用契約を締結し、ChatGPTなどのAIサービスの計算能力強化のためにGoogleクラウドを活用する方針であると報じられている。

米Reutersによれば、この契約は数か月の交渉を経て2025年5月に成立したものであり、OpenAIがMicrosoft Azureへの依存を見直し、計算資源を多様化する動きの一環だという。

この報道は、OpenAIとGoogleが生成AIや検索サービス分野において激しく競争している最中に浮上したもので、業界内では驚きをもって受け止められている。こうした契約は、かつてOpenAIがマイクロソフトとの独占的なインフラ契約に縛られていたため実現不可能だったが、現在はその制約が解除されたことで可能になった形だ。

OpenAIはこれまでにマイクロソフトから130億ドル以上の投資を受けており、その見返りとしてAI技術に対する独占的アクセス権などを与えていた。しかし、今年初めにはトランプ政権の肝いりで、オラクルやソフトバンクと連携した大規模AI開発計画「Stargate Project」が発表されつつ、マイクロソフトとの間にさまざまなあつれきが報じられている

今回の動きは、AI開発に伴い増大する計算資源の需要と、それを支える多様なインフラの必要性を如実に示している。また、クラウド業界の大手企業間で、競争と協力が複雑に絡み合っている現状を浮き彫りにするものでもある。Google側も、自社のクラウド基盤やAI専用チップ(TPU)を他社のAI開発者に積極的に提供する戦略を採っており、今回の提携もその方針に沿ったものと見られる。

GoogleクラウドがOpenAIのどの分野を具体的に支援するかは明らかにされていないが、両社にとって極めて重要な取引であることは間違いない。一方で、OpenAIとマイクロソフトとの関係にも今後さらなる変化が訪れる可能性がある。

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