試作車の生産を開始しました

Alefの「リアル空飛ぶクルマ」、予約が3400件を突破。年内にも発売される可能性?

Munenori Taniguchi

Image:Alef Aeronautics

Alef Aeronauticsは、約10年にわたって「空飛ぶクルマ」の開発に取り組んできた会社だ。

同社が2022年に発表し、開発を進める「Model A」は、空飛ぶクルマとは名ばかりの他社のeVTOLとは一線を画し、電気自動車として道路を走行する能力も備えている。しかも、Model Aは飛行なら最大110マイル(約177km)、道路走行なら最大220マイル(約354km)の航続距離があり、「平均すると、テスラや他の電気自動車よりも一回の移動あたりのエネルギー消費量が少ない」と同社は述べている。

Model Aは、機体(車体)のシルエットこそ、普通のセダン型自動車に見えるModel A。だが、前部のボンネットフードと後部トランクリッド部分はメッシュ構造になっており、その内部には機体を浮上させるローターが備え付けられている。

さらに、飛行時に機体(車体)が傾いても、運転席スペースを水平に保つジンバル式キャビンを供えている。航空機に使用されるエレボンと呼ばれるシステムによって、スムーズで安定した乗り心地と飛行を実現するとAlefは説明している。

Image:Alef Aeronautics

AlefはModel Aの発表と同時に予約受付を開始し、最新の発表ではこれまでに3400台の予約申込みがあったとしている。もし予約分をすべて販売すれば、同社には約10億ドルを売り上げる計算だ。Alefはこれらの予約を自動車ディーラーで受け付けており、自動車ディーラーを通じて航空機を予約販売した最初の企業になったという。

Alefは地元テレビ局のKTVUに対し、Model AはシリコンバレーにあるAlefの施設で、プロトタイプの製造を開始しているとし、顧客向けの量産モデルの生産にもまもなく着手する予定だとした。同社は「すべてが計画通りに進み、外部に大きな変化がなければ、2025年の終わりから2026年第1四半期までに最初の車両の生産を行う予定だ」と述べている。

Model Aの予約方法は2種類あり、通常の予約は事前の予約金が150ドルだが、1500ドルを支払えば、納車の順番が先に回ってくる優先予約とすることが可能だ。なお、車両価格は30万ドルと高額となっている。

この点に関してAlefは、当初は「ほぼ手作りレベル」での精算になるため高額だが、量産体制が整っていけばコストダウン効果が生まれ、価格は大幅に下がるはずだと説明する。そして、「最終的にはトヨタ・カローラやフォード・フォーカスのレベルを下回るだろう」とまで述べた。

ちなみにModel Aは、米国内における航空機の分類において「超軽量動力機(ウルトラライトプレーン)」に該当するため、飛行するにあたり公的な認可は必要ないとAlefは述べている。ただ、その飛行は日中のみに制限され、市街地のような人口が密集し交通が混雑するエリアの上空を飛ぶこともできない。

まだ有人での試験飛行もしていないのに、年内に製品版が発売できるとはとても信じられない。だが少なくともAlefは昨年、ボーイングやエアバスなどの業界リーダーに部品供給をしているPUCARA AeroやMYCといった企業との間で、航空機グレードの部品の大量生産契約を締結しており、「空飛ぶクルマ」を本気で量産しようとしていることは、間違いなさそうだ。また、同社は近日中にも、Model Aに関する「大規模な技術アップデート」を発表される予定とのことだ。

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