TikTok危機が引き金との見方も

Instagram、待望のiPadアプリが年内登場か。iPhone版から15年遅れ

多根清史

Image:DenPhotos/Shutterstock.com

MetaがiPad用のInstagramアプリを2025年中にリリースする予定であると、米Bloombergが報じている。

今年4月には、ニュースメディアThe Informationが、ついにiPad専用のInstagramアプリが開発中であると伝えていた。この報道を、著名ジャーナリストのMark Gurman氏が、自身のニュースレター「Power On」で裏付けた形となる。Meta社内では「積極的にテストしており、開発作業は全速力で進行中」とされており、すべてが計画通りに進めば、年内にリリースされる見通しだという。

これは、iPhone用Instagramアプリが登場し、iPadが発売された2010年から、実に15年越しの対応となる。これまでiPadでは、iPhone版アプリの拡大表示か、あるいはブラウザ版を利用するしかなかった。ようやくiPadの大画面やアスペクト比に最適化された専用アプリが提供されることになる。

Metaは長年にわたり、Facebookを除く他のアプリ、特にInstagramにおいて、iPad向け開発に消極的であった。Instagramの責任者アダム・モッセーリ氏は2022年、「iPadはまだ大きなユーザー層ではないため、優先度は高くない。いつかはやりたいが、今は他の課題に集中している」とコメント。さらに2023年にも「今は取り組んでいない」「Instagramの開発チームには人員的な制約がある」と、消極姿勢をあらためて示していた

このように長らくiPad対応を避けてきたMetaが、なぜいまになって動き出したのか。その背景には、米国でTikTokに対して「米国企業への売却か、さもなくばサービス停止」という圧力が強まっていることがあるとみられる。Metaとしては、TikTokユーザーを自社のプラットフォームに取り込む好機と捉え、できる限り多くのデバイスを受け皿とするのが得策という判断が働いたと推測されている。

この動きに続き、MetaがX(旧Twitter)対抗サービスである「Threads」においても、iPad専用アプリを提供するかどうかは興味深いところだ。

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