ゲーム体験以外は優先度低し
任天堂、Switch 2の「非対応リスト」公開。動画アプリが激減か

Nintendo Switch 2の発売まで1週間を切ったなか、任天堂は初代Switchとの互換性に関するサポートページを更新し、ニコニコやABEMAなどの動画ストリーミングアプリが動作しないことを明らかにした。
任天堂はSwitch 2向けに、1万5000本以上のSwitchソフトをテストしており、2025年5月末時点では、99%の任天堂製タイトルおよび65%のサードパーティタイトルで互換性に問題がないと確認したという。
内訳は、「起動に問題あり」が129タイトル、「起動するが一部動作に問題あり」が49タイトル、「発売時またはその直後に修正予定」が49タイトルとされている。たとえば『DOOM Eternal』や『エンダーマグノリア』などは、今後のアップデートでの対応が予定されている。

なお、任天堂はSwitch 2の互換性検証について「1本1本に対して」手作業で確認していると説明している。実際にゲームプレイを行うことで、細かな不具合や互換性の問題を見逃さないようにしており、上記の細かなカテゴリ分けもその成果といえる。
122本ある任天堂タイトルのなかで、対応していないのは「Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit」のみである。これは初代Switch本体の物理的な寸法に合わせて設計された段ボールキットであるため、Switch 2では対応困難とされている。また、初代Switch用Joy-Conの特殊な機能を使う一部のタイトルでは、Switch 2に後付けでJoy-Conを接続する必要がある。
互換性の仕組みについて、任天堂は「ソフトエミュレーターとハード互換の中間」のような方式を採用していると述べている。具体的には「Switch用ソフトのデータを、Switch 2で動作する形式にリアルタイムで変換する処理を、データの読み込みと同時に実行」しているとのことだ。
この仕組みは、LinuxベースのSteam DeckがWindows用ゲームを動作させる方式と非常に似ている。Steam Deckでは「Proton」と呼ばれる互換レイヤーを使用し、WindowsのAPIやDirectXの命令をLinuxやVulkanといったオープンなグラフィックスAPIにリアルタイムで変換している。これにより、旧世代機のハードウェアを内蔵せずともスムーズな動作を実現しているわけである。
互換レイヤーの仕組みは、APIやシステムコールなどの命令を「翻訳」するものであり、エミュレーションのようにハードウェアやOSそのものを仮想的に再現する方法と比べて、オーバーヘッド(追加の負荷)が小さい。任天堂も後者については「Switch 2の性能をフル回転させないといけないが、それではバッテリーがもたない」と説明している。
一方でゲーム以外の分野では、任天堂はSwitch 2向けに動画ストリーミングや非ゲーム系メディアアプリを大幅に縮小する方針のようだ。現時点で公式に非対応とされた初代Switch用アプリは以下のとおりである。
- ニコニコ
- ABEMA(アベマ)
- Hulu(フールー)
- Crunchyroll
- InkyPen
なお、初代SwitchでもNetflixアプリは提供されていなかった。これについて、当時の任天堂アメリカ社長レジー・フィサメィ氏は「Switchはまずゲーム体験を重視した設計であり、ゲームを遊ぶことが最優先」であるとし、NetflixやHuluのような動画配信サービスは「差別化要素ではない」と説明していた。
なお、Switch用YouTubeアプリについては「動作検証で問題を確認した」リストに掲載されているが、「対応方針をメーカーと協議中」とも記されており、今後のアップデートでSwitch 2に対応する可能性がある。
- Source: 任天堂
- via: Ars Technica