サムスンはSwitch 2のプロセッサーも製造

噂のPS6ポータブル、AMD製2nmチップ「Jupiter」搭載? カギを握るのはサムスンか

多根清史

Image:Daria Gromova/Shutterstock.com

ソニーがクラウドに依存しない「フル機能の携帯ゲーム機」を開発中であるとの噂話は、これまで複数の情報源から伝えられてきた。そして今回、そのデバイスに搭載される「自社開発」チップに関して、新たなリークが報じられている。

著名リーカーの@Jukanlosreve氏によれば、ソニーは現在「Jupiter」と呼ばれる低消費電力ゲーミング向けSoC(チップ)プロジェクトを評価しているという。このチップはAMDが設計し、サムスンの第2世代2nmプロセス(SF2P)で製造される予定であり、量産開始は2028年以降とされている。

この情報は、AMDの未発表製品に詳しいKepler_L2氏の見解とも概ね一致している。同氏によれば、AMDは次期PS6向けに2種類のSoCを開発中であり、うち1つは携帯ゲーム機用だという。ただし、こちらでは3nmプロセスが採用されるとされ、プロセスノードについては食い違いが見られる。

過去のリーク情報や、ゲーム技術に詳しいDigital Foundryの分析などを総合すると、PS6ポータブル(仮称)の予想スペックは以下の通りだ。

  • TDPは15W前後(PS5の10分の1以下)
  • AMD製のカスタムAPUを搭載
  • CPU/GPUは据え置き型PS6と同世代だが、モバイル向けに低電圧動作など別設計が施されている
  • 性能はXbox Series SとPS5の中間程度
  • PlayStation Portalのようなクラウド専用機ではなく、PS5タイトルをネイティブ動作させるスタンドアロン型
  • ただし「そのまま動く」のではなく、解像度やパフォーマンスを落としたモードやパッチが必要とされる見込み(PS6ポータブル専用タイトルではない)
  • PS4世代のタイトルであれば十分携帯機で動作可能。PS1〜PS4、PSPといったレガシータイトル資産を活用できれば大きな魅力となる
  • 発売時期は据え置き型PS6と同時期、すなわち2027〜2028年頃が想定される

携帯型ゲーム機向けチップの開発をAMDが担当するのは、自然な流れだ。同社はSteam DeckやASUS ROG Allyといった携帯型ゲーミングPC向けに高性能APUを提供してきた実績があり、PlayStationとはPS4以降10年以上にわたって連携している。

一方で、サムスンの第2世代2nmプロセス「SF2P」については、まだ未知数の部分が多い。SF2Pは、従来のFinFETではなくGAA(Gate-All-Around)トランジスタを採用しており、電力効率や性能面で優れるとされる。2026年からの量産開始が予定されており、今回のリーク情報とも整合性がある。

しかしながら、2024年9月時点では歩留まりが10〜20%にとどまっているとの報道もあり、大量生産に必要とされる60%には遠く及ばない。同じ時期、TSMCの2nmプロセスは60%以上の歩留まりを達成していた

もっとも、今年初頭には歩留まりが20〜30%まで改善したとの報道も出ている。PS6ポータブルの実現は、サムスンの2nm量産体制がカギを握るのかもしれない。

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