「2026年以降」打上げへ
地球上のどこへでも90分以内で貨物輸送できるロケット、米空軍とRocketLabが開発へ

米国の空軍研究所(Air Force Research Laboratory:AFRL)とRocket Labは、地球上のどこへでも最大100トンの貨物または人員を輸送するRocket Experimentation for Global Agile Logistics(REGAL)プログラムの「Rocket Cargo」ミッションのため、2026年以降に中型再利用可能ロケット「Neutron」の打ち上げ試験を行う契約を結んだ。
全長42.8m・直径7mのNeutronロケットは、Rocket Labが再利用可能な中型ロケットとして開発しているものだ。そしてRocket CargoはREGALプログラムの一環として、弾道軌道への加速と地球上のあらゆる場所への60~90分以内の着陸が可能な商用再使用型輸送ロケットの開発を目指している。
これは、ただ単に大きなペイロード搭載能力を持つだけでなく、垂直着陸ができる再利用可能なロケットを開発し、最終的にボーイングのC-17輸送機(通称グローブマスターIII)と同等の貨物積載量を備え、従来の航空貨物輸送と同程度のコストで利用できる物流システムを目指すというものだ。

13トンのペイロードを搭載可能なNeutronロケットは、輸送ミッションに使用されるものと同様の軌道に打ち上げ、また帰還させることで、物流ミッションを実施するのに最適な将来のロケットを開発・構築するためのデータ収集に貢献する。特に軌道からの帰還では、制御された大気圏再突入において、温度、圧力、加速度、熱流束、構造要素、材料、そして機体システムへの影響を着陸・回収段階まで監視し、ペイロードや乗員の安全性を確保するためにそのデータを使用する計画だ。
Rocket Labの創業者・CEOであるピーター・ベック氏は「中型ロケット打ち上げにおける性能、価格、信頼性の新たな基準を打ち立てる強力な新しい打ち上げオプションとなる。米空軍にとってこの機会は、宇宙物流の発展に貢献するだけでなく、国防総省がNeutronの能力に高い信頼を寄せていることを示すものでもある」「国防総省のための、2地点間物流の研究開発プラットフォームとしてNeutronを紹介できることを喜ばしく思う」とコメントしている。
地球上の2地点間ロケット輸送といえば、SpaceXも、自社で開発している大型ロケット兼宇宙船「Starship」を使う2地点間輸送の構想を語っていた。そして2021年には、米空軍と2地点間輸送の提供で国防総省と契約を結んでいる。
- Source: Rocket Lab