Take-Two CEOいわく「ファンの求めるレベルで届けるため」に延期

Ubisoft、期待外れの決算報告で株価下落。一方『GTA VI』延期のTake-Twoは堅調を維持

Image:Ubisoft

業績不振により苦境にあるとされる大手ゲームソフトメーカーのUbisoftは、2025年3月31日を期末とする会計年度の純受注額が20.5%減少したことを報告し、直後に株価が18%下落した。同社は今年3月に人気シリーズ『Assassin’s Creed』の最新作を発売したが、この作品は通期の売り上げにはあまり貢献しなかった模様だ。

Ubisoftは、3月に発売した『Assassin’s Creed Shadows』が大好評で、発売後数日で200万プレイヤーを獲得し、3月のゲームソフト売り上げでも首位に立ったと述べていた。だが、CNBCはこの作品が「通期の売上高にはほとんど寄与しなかった」と伝えている。

Ubosoftが発表した収益報告書によれば、国際財務報告基準(IFRS)に基づく純利益が9230万ドルの損失(非IRFSベースでは約1700万ドル)と記されている。また受注額減少の理由は「予想を下回るパートナーシップ」のせいだとしている。

2025-26年通期の見通しでは、今期の純受注額は前年比「安定」となり、非IFRSベースの営業利益が損益分岐点に達すると予想したが、株主の期待に応えるものではなかったようだ。

Ubisoftは業績不振による財政的な問題により、最近は世界の複数の場所にある開発スタジオをいくつか閉鎖してきている。

株価も過去12か月間で60%近く下落しており、3月には中国Tencentが一部出資したゲーム開発子会社を設立し、『Assassin’s Creed』『Farcry』『Rainbow Six』といった主力フランチャイズのIPをライセンスする格好で開発・販売を行ってくことを発表した。この子会社については、Ubisoftが過半数、Tencentが25%の株式を持つとしている。

映画にもなった人気ゲームシリーズ『Assassin’s Creed』の最新作は、結局のところ成功しているのかいないのかが、いまいちよくわからない。だが、発売前から誰もが間違いなく大ヒットすると予想しているのが、Rockstar Gamesが開発し、Take-Twoがパブリッシャーを務める『Grand Theft Auto』シリーズの最新作『GTA VI』だ。

同作は先日、今秋に予定していた発売を2026年5月26日へと延期したが、最新の予告動画は24時間で合計4億7500万回の視聴回数を記録。発表予告動画の9300万回から大きく増加していると指摘した。

2020年に開発を開始し、ようやく発売が見えてきた『GTA VI』にゲームファンの期待は高まるばかりだが、今の段階でもTake-Twoの業績は堅調に推移している。3月31日締めの第4四半期の純受注額(期間中にデジタル販売または実店舗で販売された製品およびサービスの純額)が15億8000万ドルとなり、前年同期比17%増になったことが報告されている。また、GAAPベースの純収益は15億8200万ドルで前年同期比13%増、純損失は33億7300万ドルで、前年同期の29億ドルから減少した。

『GTA VI』は延期したものの、Take-Twoと傘下のスタジオは2025年内に『Civilization VII』『Mafia:The Old Country』『Borderlands 4』といった人気シリーズ作品の発売を予定している。

同社は2026年度の純予約額は59億ドルから60億ドルになると予想しており、これは中間時点で2025年度比5%の増加となる。

Take-Twoのストラウス・ゼルニックCEOは、「2026年度の見通しは引き続き好調な勢いを維持している」とし、2027年度には「『GTA VI』を含む魅力的なラインナップを市場に投入し、純受注額の過去最高水準を達成することで、事業の新たな基準を確立し、収益性向上への道を歩み始めることができる』と述べている。

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