以前は、Windows 10のサポート終了でOfficeも終了するとしていました

マイクロソフト、Windows 10上のOfficeサポートを10月以降も最長3年間継続へ

Munenori Taniguchi

Image:IB Photography/Shutterstock.com

Windows 10は、2025年10月14日でテクニカルサポートやセキュリティアップデートが提供される公式サポート期間を終了する。これにともない、マイクロソフトは「Microsoft 365アプリは2025年10月14日以降、Windows 10デバイス上ではサポートされなくなります」「デバイスでMicrosoft 365アプリケーションを利用するには、Windows 11にアップグレードする必要があります」と述べていた。

また、Windows 10に導入された買い切り型のOffice 2024 および Office 2021 (Office LTSC バージョンを含む) は、引き続き Windows 10で動作するものの、やはりWindows 10とともにサポートを終了するため、「時間の経過とともにパフォーマンスと信頼性に問題が生じる可能性があります」としていた

しかし先週、マイクロソフトは方針を改め、Microsoft 365のヘルプページを更新。そのなかで「Windows 11への移行中のセキュリティ維持を支援するため、MicrosoftはWindows 10のサポート終了後も3年間、Windows 10上のMicrosoft 365 Apps向けのセキュリティアップデートの提供を継続します」と述べた。実は、開発者向けのMicrosoft 365サポートページも、4月30日にひっそりと更新が行われ、この変更が明記されるようになっていた。

マイクロソフトは2021年10月5日のWIndows 11のリリース以降、Windows 10のサポート期限を予告し、一般ユーザーと企業に対し早めのWindows 11へのアップグレードを促してきた。今年初めのCESでは、いまだWindows 11の普及がWindows 10におくれをとっている状況ながら、最新OSへの移行を促すために「2025年はWindows 11 PCへの刷新の年」になると宣言もした。

そして昨年あたりから、Windows 10で作業中に、全画面を遮るようにWindows 11へ更新するよう促す警告メッセージを表示したりもしてきた。

だが、ユーザーの立場からいえば、たとえWindows 10がプリインストールされたPCでも、ハードウェア性能的にまだまだストレスなく使用でき、故障もしていないのなら、わざわざ新しいPCに買い換えようという気にはならないものだ。

以前であればPCハードウェアはそのままに、Windowsだけを最新バージョンにアップグレードすれば良かった。だがWindows 11の場合は、マイクロソフトが最小システム要件に「TPM 2.0」の搭載を義務づけていることが、ユーザーにとって障壁となっている。TPMとはTrusted Protection Moduleの略で、Windowsの「BitLocker」機能をはじめ、様々なセキュリティ機能を提供するためのモジュールだ。

マイクロソフトも、一時はウェブサイト上でTPM 2.0非搭載のハードウェアにWindows 11をインストールするための方法を記したページを掲載していた。だが現在はそれもなくなっている。そのかわり、どうしてもWindows 10搭載のいまのシステムを、正規の状態で使い続けたいユーザーに対して、マイクロソフトは延長セキュリティサポート制度(ESU)を案内している

ESUは、企業ユーザーに対しては有料で最長3年間、いままでどおりセキュリティアップデートを提供し、Windows 10を安全に使えるようにするというサービスだ。今回は初めて、一般消費者ユーザーにも1年間に限り延長サポートが提供されることが決まっている。1年間のサポート延長価格は30ドルだ。

つまり今回、Windows 10上のOfficeアプリが「Windows 10のサポート終了後も3年間」延長されるようになったのは、Windows 10の延長サポートを利用するケースに合わせてのこと、と言えるかもしれない。

ちなみに、企業ユーザーは有料で最長3年間Windows 10の延長サポートを受けられるが、こちらは年を追うごとに価格が上昇する仕組みになっており、早めにPC更新のための予算を組んでおくほうが良さそうだ。

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