2026年から顧客に納入開始予定

1人乗りeVTOL「Jetson One」3機によるレース映像が公開

Image:Jetson

スウェーデンの航空ベンチャーJetsonが、同社が開発する個人向けの電動垂直離着陸機(eVTOL)「Jetson One」3機による初のレースを開催し、その模様をYouTubeに公開した。

Jetson Oneは、フォーミュラカーのモノコックタブの四隅にローターとロールケージを取り付けただけといった外観をもつ1人乗りeVTOLで、よくある空飛ぶクルマが目指す近距離都市間移動といった公共の用途ではなく、レクリエーションとしての用途を提案している。

今回公開された動画は、まさにそのもっとも考え得る用途であるエアレースを、「やってみた」的な動画と言えるだろう。3機のJetson Oneに搭乗するのは、同社のCEOであるStéphan D’haene氏、CTOのTomasz Patan氏、そしてチーフテストパイロットのAndrea Spresian氏だ。ちなみに、CEOが乗るのが量産タイプの「SN1」と呼ばれる機体で、残りの2機はプロトタイプとなっている。

コースは、小型飛行機を用いたエアレースによくあるような巨大な風船タイプのパイロンで構成される。3機のeVTOLはゆっくり、隊列を組むようにしてパイロンを旋回、特にひやりとするような場面もなく、(途中で2~3位が順番を入れ替える場面はあったが)一定間隔を保って最後まで飛行した。

レースと言えるかどうかはともかく、映画『スター・ウォーズ』に出てくるスピーダーレース(の超ゆっくり版)のような風景が現実になったと思うと、感慨深く思う人もいるのではないだろうか。ちなみにレース結果は、何らかの忖度フォースが作用したのか、CEOの勝利となった。

動画を見て、おそらく誰もが気になるのは、現状のように搭乗者とローターがむき出しのまま、複数機が接近して飛行するのは明らかに危険ではないかというところだろう。市販バージョンでは少なくともローター用のガードが欲しいところだ。

約5年の歳月をかけてJetsonが開発してきた量産型Jetson Oneは、アルミフレームにカーボンファイバー製のモノコックを組み合わせた構造で、4本のアームに取り付けられた8つの電動モーターで8つのローターを駆動する。機体には3重冗長構成のコンピューター制御システムが搭載され、フライ・バイ・ワイヤーによる自動着陸制御と、非常用のパラシュートシステムも備えている。最高飛行速度は約102km/h、航続時間は最大20分だ。

Jetsonによれば12万8000ドルの量産型は、すでに2026年生産分が予約完売状態で、新規顧客は早くても2027年まで生産を待たなければならないという。予約済み顧客はほとんどが米国人とのことだ。

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