「自分が死んだとき『裕福なまま亡くなった』とは言わせないと決めている」そうです

ビル・ゲイツ、資産の99%を慈善事業で使い切る計画。今後20年かけて

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マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏は、今後20年をかけて、自身が持つ慈善団体であるゲイツ財団を通じ、自己資産の99%を寄付していく考えを示した。ゲイツ氏は「財産のほぼすべてを、 世界中の人々の命を救い、より良くするという大義のために寄付していく。そして2045年12月31日をもって、財団は永久に閉鎖される」とした。

ゲイツ氏は、自身のウェブサイト「Gates Notes」に掲載したブログ記事で、「財団の25周年を祝うことに加え、今年は他にもいくつかの節目の年でもある。財団の設立を助けてくれた父が100歳になるはずだった年だ。マイクロソフトは50周年を迎え、そして私自身も10月に70歳になる」「多くの人が引退する年齢に、私も正式に達した」としつつ「できる限り長く、戦略の見直し、パートナーとの会議、研修旅行などで日々を充実させていきたい」としてさらに財団の運営に力を入れていく考えを述べている。

そして、財団の今後については、2000年にビル&メリンダ・ゲイツ財団として設立した当初の定款に「私たちの死後数十年で財団は終焉を迎える」という条項を記していたことに触れ、数年前からこの考えの見直しをし始めたことを明かし、理事会からの意見も踏まえて考慮した結果、今後20年間で主要な投資を倍増し、パートナーにさらなる確実性を提供すれば、より短期間で財団の目標を達成できると考えているとした。

さらに、投資額をどれぐらい増やすのかは、市場やインフレ率に左右されるとしつつも、ゲイツ氏は具体的に、2045年までに2000億ドル以上を支出するとの予想を示ししている。この金額は、基金の残高とゲイツ氏の資産からの将来の寄付が含まれる。ゲイツ氏は、現在の資産額が約1080億ドルとする棒グラフを示し、それが2045年にはほぼゼロに近づくまで下がると説明している。

Image:Gates Notes

ゲイツ財団はこれまでに、健康、教育、世界開発、男女平等を中心としたさまざまな活動にすでに1000億ドル以上を費やしてきた。財団が支援してきたのは、マラリアのような風土病や、致命的な病気に罹患している低所得国の人々だ。

ゲイツ氏は、今後20年間の目標として、予防可能な原因による母子の死亡をさらに減らすこと、ポリオやマラリア、麻疹、ギニア虫病といった病気の根絶に貢献すること、アフリカ諸国における教育と農業の発展を支援し「何億人もの人々が貧困から抜け出す」のを金銭的に支援することなどを掲げた。また、アルツハイマー病をはじめとする認知症と闘うための様々な取り組みを支持すると述べ、必要とされる限り、この病気の進行を遅らせ、さらには阻止するために取り組む研究者を支援し続けるとした。

ゲイツ氏は最近、トランプ政権と政府効率化省、通称DOGEを率いるイーロン・マスク氏らが、世界で人道支援活動を展開する米国国際開発庁(USAID)の本部閉鎖と予算および人員の大幅削減を行ったことに対し「世界一の富豪が世界で最も貧しい子供たちを殺している」と非難した。これについてインタビューでたずねられたゲイツ氏は、「こうした削減は、単に子供だけではなく、何百万人もの子供たちの命を奪うことになる」「世界一の富豪がそんなことをするなんて予想もしなかっただろう」と述べた。

さらにFinancial Timesのインタビューでは、ゲイツ氏はモザンビークのガザ地区にある病院への助成金が打ち切られた問題に触れた。トランプ大統領は、助成金がガザ地区の「ハマス向けコンドーム」への資金提供だといいかげんな主張をし、マスク氏が後に「間違いは誰にでもある」として誤りを訂正したものの、助成金は元に戻っていないとされる。ゲイツ氏はマスク氏に対し「ぜひ、将来予算削減のせいでHIVに感染してしまった子どもたちに会いに行ってほしい」とコメントした。

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