膝が前後に曲がります
走破性が高すぎる車輪4脚ロボット「Lynx M20」登場。産業向けに強化、より過酷な用途にも

中国のロボットスタートアップDeep Roboticsは昨年発売した、酷い障害物がある場所も自在に走破できる4脚ロボット「Lynx」の強化バージョンとなる「Lynx M20」を発表した。
Lynx M20は、極限環境下での産業用途向けに設計された世界初の車輪付きロボットとのふれ込みで、インフラ点検、災害・緊急時対応、物流・配送、科学研究分野などでの活用を想定している。
前回紹介したLynxも、最大80cmもの段差を乗り越えられる走破性の高さが特徴的だったが、Lynx M20はいかにも強化されましたと言わんばかりの脚の太さが、より過酷な用途にも対応可能であることを物語っている。
紹介動画では、高速走行用の車輪が埋もれてしまう砂地や湿地を、動物のように脚を使って踏破していく様子が冒頭に示されており、中盤では消火器を背負って山野を駆け、指定したポイントに向かって消化剤を噴射する様子も見ることができる(どうやって消火器のグリップを操作したのかは不明だが)。さらにはカメラを背負って変電設備内の巡視や、最大15kgの荷物を配送する様子など、いずれも普通の車輪駆動型ロボットでは困難な段差を踏み越えている様子を踏まえて紹介している。また、人工池に水没した状態から上がってくる場面では、IP66の高い防水性能もアピールする。
動画を見ていてふと気付くのは、後ろ脚の膝関節に当たる部分が、Lynxでは鳥の脚のように「>>」としか曲がらなかったところが、Lynx M20では人間の膝のようにたびたび曲がっていることだ。些細な変化だが、特に、若干姿勢を伏せ気味して、安定した状態にする必要があるときに前後の関節が「><」状になるようになっていることから、膝を折り曲げる方向を変えることによる、何らかのメリットがあるのかもしれない。
Lynx M20は最高時速7.2km、登坂能力45度という走行性能を持ち、さらに幅50cmの狭い路地を通り抜けられ、一般的な階段の昇降も可能だ。通過可能な最大段差はLynxと同じく80cm、使用可能な環境温度範囲は-20℃~55℃。1回の充電で2.5~3時間動作させられる。
重量は33kgで、ウェブページには1人で持ち上げられると紹介されているが、30kgは下手をすると腰を痛めてしまう重さなので注意が必要だ。
なお、Lynx M20には無印バージョンとProバージョンがある。Lynx M20 Proは無印に比べて、自動充電、SLAM測位(GPSなど各種衛星測位システム)とマッピング、自動ナビゲーションに加え、USBやギガビットLANなどのアップグレード機能が搭載されている。
工場やインフラ整備などの現場で実際に使用するとなると、どこまでメリットがあるのかは見極めが必要だが、単純に人が進入する際に危険が伴う場所の様子を確認する用途には便利そうだ。
- Source: Deep Robotics
- via: New Atlas