トランプ政権は激怒

米Amazon、「トランプ関税上乗せ価格表示」計画を否定。大統領から創業者に直電か

Image:Willrow Hood / Shutterstock.com

米Amazonは、同社が商品価格にトランプ政権による関税コストを併記する計画があるとの報道を受け、これを否定する声明を発表した。

事の発端は、米Punchbowl Newsが報じた「Amazonが商品価格の横に関税による値上げ分を表示する計画がある」との報道だ。これに対し、ホワイトハウスのキャロライン・リービット報道官は、4月29日の記者会見にてこの計画を「敵対的かつ政治的な行為」と非難。「なぜバイデン政権時のインフレ期には同様の措置を取らなかったのか」と指摘しつつ、2021年のReuters報道を引用して、Amazonが「中国のプロパガンダ機関」と提携していたとも主張した。

これに対してAmazonは、「そのような計画は存在しない」と明言し、報道を否定した。同社は「低価格ストアAmazon Haulを運営するチームが、一部商品の輸入手数料表示を検討した」と認めたが、あくまでメインサイトでの実施は一切検討しておらず、現在のところどのサービスでも導入していないと強調。「この案は承認されておらず、今後も実施しない」と明言している。

Amazon Haulは、同社が中国系格安通販サービスTemuやSheinに対抗するために立ち上げた、20ドル以下の商品に特化したオンラインストアである。TemuやSheinでは、すでに商品価格に約145%の「輸入手数料」を上乗せする関税表示を導入しており、Amazonもこれに追随しようとしたが挫かれた格好だ。

この問題の背景には、トランプ大統領がAmazon創業者ジェフ・ベゾス氏に直接電話をかけ、関税表示に対する強い懸念を伝えたという報道もある。大統領は「ジェフ・ベゾスはとても良い人だった」「彼は問題を素早く解決してくれた」と語ったとされている。

もしもAmazonが関税コストを明示すれば、トランプ政権による「関税は輸出国が支払う」との主張が否定され、関税が最終的には米国消費者の負担となる現実が可視化されるため、激しく反発したとみられている

一方で、Amazonは7月に恒例の大型セール「プライムデー」を開催すると発表している。しかし、関税問題の不透明感が残る中、一部のサードパーティ出品者は参加を辞退する意向であるとReutersは報じている

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