大人より自覚的かも

米国で10代がSNS離れ?「有害で時間の浪費」、ただし「創造性を示せる場」でもある

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SNS、ソーシャルメディアが人々の心身に与える影響は、医療専門家や規制当局、子を持つ親や教育機関など、それぞれにとって懸念すべきテーマとなっている。そして、今週発表された統計報告によると、米国の10代の若者のほぼ半分は、ソーシャルメディアが同年代の人々に悪い影響を与えていると考えており、同じぐらいの数の若者が、ソーシャルメディアから距離を置くようになっていると回答している。

ピュー・リサーチ・センターが火曜日に発表した調査報告書は、米国内の10代の若者1391人とその親に、ソーシャルメディアやスマートフォンに関する意識についてたずね、まとめたもの。

ピュー・リサーチ・センターは昨年12月に、米国の10代の若者のほぼ半数が、ほぼ常にインターネットの何らかのサービスを利用しているという調査結果を報告している。今回の調査はその報告を受けて新たに実施されており、最も年齢の低いユーザー層である10代の間が、ソーシャルメディアをどのように認識し、利用しているかを明らかにするものだ。

この報告書によると、10代の若者の48%は、ソーシャルメディアが「同年代の人々」に「概ねマイナスの影響」を与えていると回答している。これは2022年に実施された同種の調査で示された32%という数字から増加している。またソーシャルメディアが「自分自身」に「概ねマイナスの影響」を与えていると答えた若者は14%と低い。だがこれも、2022年の9%からは増加している。

一方で、ソーシャルメディアが10代にとって「概ねプラスの影響」を与えていると回答したのは11%に過ぎなかった。

報告書に記されたコメントでは、例えばある10代の少年が同世代におけるソーシャルメディアの過剰利用について「私の年齢層の人々のうつ病の主な原因のようだ」と語り、「知らない人の意見に左右され、それが精神状態に大きな混乱をもたらしている」と述べている。

とはいえ、若者たちはオンラインに身を投じるのを抑制しつつあるようで、ソーシャルメディアに費やす時間が多すぎると回答した割合は45%に及んだ。この値は、2022年当時は36%から増加している。また、回答者の44%は、もうすでにオンラインの時間を減らしたとも答えている。

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また、ソーシャルメディアの影響は性別の違いや人種・民族によってやや傾向が異なるようだ。たとえば10代の女子は男子に比べて、ソーシャルメディアが睡眠時間や精神衛生、生産性、自信に対するマイナスの影響を与えていると答える割合がわずかに高かった。これは、今回とは異なる機関による別の調査で、ソーシャルメディアとうつ病の関連性において、10代の少年よりも少女の方が強い可能性があると報告した研究結果にも一致する傾向だ。

2021年にMetaが社内で行った調査では、Instagramが「10代の少女の3人に1人の容姿の問題を悪化させている」と報告されていたことが、同社の内部告発によって明らかにされており、その後Metaは10代の若者の安全向上を目的とした新たなポリシーと施策を導入することになった。

今回の報告においては、すでにソーシャルメディアの使用を減らした若者が44%だと上で紹介したが、その性別による割合は女子が48%と高く、男子は40%となっている。

この報告書は、ソーシャルメディアが若者にとって有益か有害かという長年の議論に決着をつけるものではないが、10代の若者の考え方が変化しているという事実を示唆するものと言うことはできそうだ。米国の議員のなかには、若い10代の人々をソーシャルメディアから完全に遠ざけるよう求めてる者もいるが、この問題を気にしているのは、決して大人だけではないことが今回の調査からはわかった。

なお、この調査はソーシャルメディアを一方的に10代の心身に悪いものだと決めつけているわけではない。10代の回答者の10人に6人は、ソーシャルメディアが「自分のクリエイティブな面を示せる場」だと考えており、それよりも多くの割合の若者たちが「友だちの生活でどんなことが起こっているかを知るのに役立っている」と答えている。これらは、ソーシャルメディアの登場以前には、なかなか難しかったことであり、実世界での互いの交流を円滑にする一助にもなっている可能性を示している。

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