実は第2回も計画されていました
大失敗したフェス「ファイア・フェスティバル」が音楽サブスクに?人気番組MCらがIP取得

2017年に、無人島パラダイス的なイメージだけを先行させてチケットを売りさばき、その裏では余りにずさんな計画のまま開催を強行した結果、大惨事とも言える状況を引き起こした悪名高き音楽イベント「ファイア・フェスティバル」が、なぜかサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスとして待望(?)の復活を果たすことが報じられている。
実は、ファイア・フェスティバル主催者のひとりだったビリー・マクファーランドは、前回の騒動の後、通信詐欺の罪で懲役6年を言い渡されたのだが、2022年の出所直後、性懲りもなく「第2回ファイア・フェスティバル」を、メキシコで2025年に開催すると発表していた。
そして(よせば良いのに)、チケットもすでに1400ドル(約20万円)~110万ドル(約1.56億円)という桁外れの価格で先行発売し、準備は順調に進んでいるかのように見えていた。
ところが、先週4月18日になって、マクファーランドは開催地の使用許可が下りないことを理由に、イベントの無期限延期を発表。代替開催地もまったく白紙状態であることを明らかにした。この時期になってまだ開催地を押さえていないこと自体があり得ない話だが、すでにチケット代金を支払った顧客には、新しい開催地と日程が近日中に発表される旨のメッセージが送られたという。
このイベントが今後どうなるかはあまり考えたくはないが、エンタメ情報サイトDeadlineによると、米国の犯罪捜査番組『To Catch a Predator』のMCで知られるクリス・ハンセンらは、第2回イベントの延期発表と同時期に、マクファーランドからフェスティバルに関する2つの商標を含むイベントの知的財産(IP)の一部を取得したとのことだ。
クリス・ハンセンとともに犯罪捜査番組を集めた動画配信サービス「TruBlu(トラブル)」を共同設立したショーン・レックは、「音楽ネットワークは今や音楽とは全く関係ない番組ばかりで、人々がバナナで滑るのを見たところで何も面白くない。たとえ悪いイメージが付いていても、人々にすぐに認識してもらえるようなビッグネームが必要だった。だから、ストリーミングネットワークを始めるためにこれらの商標を買った」と述べている。そして「これはフェスティバルや宣伝ではない。音楽を発見する力をファンの手に取り戻すことなのだ」「われわれは、本物で永続的なものを作り上げているのです。」とレックは付け加えた。
レックは、新しい月額音楽ストリーミングサービスはユーザーが投稿し、ファンがキュレーションするサービスだと説明している。月額は3.99ドルからと安価だが、当初はポップミュージックとヒップホップを特集したFASTフィード1本しか用意が間に合わないようだ。しかし、サービスが順調に経ちいくようならば、ロック系の音楽やスポークン・ワードといった他のジャンルにも拡大していく予定だという。
レックは、「われわれは、本物で永続的なものを構築している」と主張し、感謝祭の時期にこの新しい音楽ストリーミングサービスを開始すると述べている。
わざわざ、大失敗に終わった詐欺的な音楽フェスティバルの名前で商売をしようというのは、相当にまともではない発想だと思うが、彼らがターゲットとする顧客層は、そんなことは気にしないのかもしれない。
ファイア・フェスティバルの第1回は2017年、バハマ諸島のグレート・エグズーマ島で開催された。ベラ・ハディッドやヘイリー・ボールドウィンといった著名なインフルエンサーを起用し、ステルスマーケティングなどもふんだんに活用して大規模な宣伝を展開したこのイベントは、その一方でまともな準備作業が行われないまま開催日を迎え、宿泊施設、セキュリティ、医療サービスの絶対的な不足、質素というよりも残飯に近いケータリングなど、多くの問題に直面。その惨状を見た参加ミュージシャンが続々と出演をキャンセルするなど、目も当てられない大失敗に終わった。その模様は、後にNetflixとHuluによってドキュメンタリー化された。