日本市場を意識した「Roomba」など3カテゴリー

「ルンバ」ラインナップ全刷新、6モデル一挙発表。全機種LiDAR搭載、全自動モデルも投入

編集部:平山洸太

アイロボットジャパンは、ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」のラインナップを全面刷新。新たに「Roomba」「Roomba Plus」「Roomba Max」の3カテゴリー/計6機種を4月18日から販売する。ラインナップと価格(公式ストア価格・税込)は以下の通り。

■Roomba
・「Roomba 105 Combo ロボット」:39,400円
・「Roomba 105 Combo + AutoEmpty 充電ステーション」:59,200円(オンライン限定)
・「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット」:59,200円

■Roomba Plus
・「Roomba Plus 405 Combo + AutoWash 充電ステーション」:98,800円(オンライン限定)
・「Roomba Plus 505 Combo + AutoWash 充電ステーション」:128,400円

■Roomba Max
・「Roomba Max 705 Vac ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」:98,800円

ルンバ初となるフルラインナップ刷新。ゲイリー・コーエンCEOに交代後の “新生アイロボット” を象徴する製品として、あらゆるユーザーや住環境を想定して開発したと同社は説明。「Roomba, made for this」をテーマに、3つのカテゴリーによって選びやすいラインナップを目指したとしている。

フォトセッションの様子。初のフルラインナップ刷新として、「All New Roomba」を掲げる

エントリーとなる「Roomba」は日本市場を意識して開発したという普及帯のモデルで、単身世帯やシンプルな間取りの住宅を想定。ミドルレンジの「Roomba Plus」は自動化と先進機能により、子育てファミリーや複数の間取りがある住宅に最適だという。

また、フラグシップの「Roomba Max」はルンバ史上最高の吸引力と清掃力により、ペットオーナーや畳/カーペットが多い住宅に最適だそうだ。

発表された新モデル一覧

いずれのモデルでも、デザインはGRID(Geometric/調和のとれた、Rational/合理的、Iconic/象徴的、Dynamic/大胆)という新しいデザイン言語を採用している。アジア市場に精通している同社のインサン・ホン氏がデザインを担当。色、素材、仕上げには温かみがあり、親しみやすいデザインだとしている。

「GRID」デザインを採用

エントリーを含めた全モデルがLiDARナビゲーション(ClearView Pro LiDAR)を搭載したことで、どのモデルでもマッピングが行えるようになったのも大きな特徴。これによって新たなアプリ「Roomba Home」を使い、進入禁止エリアの設定、部屋ごとの掃除モード調整、掃除する部屋の順番などが選べるようになった。なお、既存モデルの新アプリ対応予定はなし。

天面に搭載されたLiDARスキャナ
アプリも新たなものに

従来のカメラのみのナビゲーションと比べて、LiDARは暗い場所でも素早くマップを作成できるとのこと。掃除制御も最初に壁際を一周してから埋めるように動くかたちに変わっており、LiDAR搭載でも壁際をしっかり清掃するような制御を行っているとのことだ。さらに、これまで上位モデル限定だった、Y字に水拭きすることで2倍の清掃能力を実現する「スマートスクラブ」も、エントリーモデルを含めて利用できるようになっている。

Roomba(エントリークラス)

「Roomba 105 Combo + AutoEmpty 充電ステーション」

基本的な機能のみを備えるエントリーモデルながらもLiDARナビゲーションを装備。モップパッドによる水拭きにも対応する。ラインナップとしては大きく「105」と「205」に分かれており、105はごみ収集ステーションをセットにしたオンライン限定モデルも用意する。

105と205で基本的な機能は同様だが、205では60日分のゴミをロボット掃除機内に保管できるという “ゴミ圧縮機能付きダスト容器” を初採用。ダスト内のフラップを動かして機械的に圧縮するというもので、「充電ステーションのごみ収集機能をロボット本体に実装したとしたら」という発想から開発したという。

「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット」
205のダスト容器。フラップでゴミを圧縮し、綿では写真の量は保管できるという

また205では、ラインナップで唯一、LiDARスキャナを本体内に内蔵している。これによって内部の配置レイアウトが効率化し、ダスト容器自体のサイズも拡大。105の2倍以上の容量を実現したという。ほか細かい違いだが、105の毛とゴムのブラシ、205はゴムのみのブラシとなっている。

左が205で右が105。高さは同じだがLiDARの位置が違う
105の裏面。ブラシ素材は毛とゴムを併用

Roomba Plus(ミドルクラス)

「Roomba Plus 505 Combo + AutoWash 充電ステーション」

今回の新ラインナップでは唯一の全自動カテゴリー。フル機能の「505」に加えて、機能を厳選することで10万円以下を実現した「405」の2モデルを展開している。両モデルともステーションにより、集めたゴミの吸引(最大75日間)、モップの洗浄から乾燥までを全自動で行える。

モップはルンバとしては初めて、回転式の「DualClean モップパッド」を採用。これにより、通常のモップパッド/回転式/パッドリフティングの3方式がラインナップに存在することになり、ユーザーはニーズに合った水拭き方法のモデルを選べるとする。

モップは回転式を採用する

水拭きは、裸足で家の中を動き回ることが多い日本においておすすめの機能だと同社は説明し、「拭き掃除ができるので裸足での毎日が気持ち良いものになる」とアピールする。さらに、505ではモップが外側にはみ出す「PerfectEdge」に対応しており、壁際まで水拭きを行うことが可能。

505はPerfectEdge機能により、壁際まで水拭きできる

掃除機本体は、従来からの「4段階クリーニングシステム」を継承。エッジグリーニングブラシでゴミをかき出し、1本のゴムブラシ(シングルアクションブラシ)でゴミをかき込み、本体内のモーターで吸引する。そして、きれいになった状態でモップがけを行うというものだ。

また505では、正面にカメラ(PrecisionVision AIテクノロジー)を搭載しており、床に落ちたコードなどの小さい物体まで見分ける機能も搭載。さらに床の汚れを認識することで、念入りに掃除する「ダートディテクト」機能も利用できる。そのほかの差分として、乾燥方法が505が温風に対して、405は送風のみとなっている。

Roomba Max(フラグシップ)

「Roomba Max 705 Vac ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」

このカテゴリーからは、「Roomba Max 705 Vac ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」の1モデルのみが新たに展開。 “Vac” という型番の通り吸引(Vaccum)に特化したモデルであり、水拭きには非対応。畳やカーペットなど水拭きをしないフロアが多いなど、水拭きをそこまで求めないユーザーにも最適だとしている。

前述の通り「ルンバ史上最高の吸引力」を謳っており、吸引力は前世代の“600シリーズ”と比較して最大180倍だと説明している。吸引力は4段階から選ぶことが可能。ちなみに今回発表されたほかのモデルの吸引力については、いずれも600シリーズ比で最大70倍だそうだ。ステーションはごみ収集機能を搭載しており、最大75日分のごみを紙パックに収集可能。ステーションのサイズもコンパクトに仕上げたという。

また掃除機のブラシについては、2本のゴム製によるデュアルアクションブラシを本モデルのみ採用。2本になることで特にカーペットに強くなり、カーペットに入り込んだり絡みついたりしたゴミを、よりパワフルにほぐして吸引できるモデルになっているとのこと。カーペットを検知して吸引力を上げるカーペットブーストも搭載。LiDARに加えてカメラも搭載し、物体認識やダートディテクト機能にも対応する。

705の裏面。新製品では本モデルのみが2本のゴム製ブラシを採用する

なお、従来のルンバはほぼ全てが新機種に置き換わる。ただし、「ルンバ コンボ 10 Max ロボット + AutoWash 充電ステーション」と「ルンバ コンボ 10 Max ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」の2モデルのみ、Roomba Maxカテゴリーの中で現行モデルとして継続する。

クリーナー市場での存在感を向上、ブランドシェア20%を目指す

アイロボットジャパン 代表執行役員社長 挽野元氏

発表会では、アイロボットジャパン代表執行役員社長の挽野元氏が登壇。2024年のトピックスとして、2024年4月に国内出荷台数600万台を突破し、自社のロボット掃除機の国内普及率10%を達成したことをアピールした。これは2018年に掲げた中期目標であり、今後は2030年の「クリーナー市場におけるブランドシェア20%」に向けて、「クリーナー市場での存在感を高めていきたい」とした。

世帯普及率10%を達成

そのほか2024年には、同社が在庫リスクなどを負う代わりに販売価格を指定できる「指定価格制度」の導入により、実店舗とオンラインの両チャネルを統合した販売プロモーションの展開体制を構築したことを説明。整備センターのある東金市にてふるさと納税の返礼品にリユース品のルンバが採用されたことや、普及モデル「Roomba Combo Essential robot」の好調もアピールされた。

発表会には、昨年5月にCEOに就任したゲイリー・コーエン氏も登壇。就任から1年の間で会社を変化させ、「ビジネスモデルを変えた」「ロボットの開発・製造方法を一新した」「新製品を迅速かつ効率的に投入できるよう支援してくれるアジアのパートナーとも協力した」「経営陣を刷新することで、新製品のイノベーション、消費者フォーカスの製品設計に集中できるように最高の人材を揃えた」などの改革を遂行してきたと振り返った。

CEO ゲイリー・コーエン氏

改革の結果、アイロボットが「より機敏で市場投入スピードをより重視した革新的な企業」になったとコーエン氏。これによって「業績や長期的な株主価値の向上につながる」とし、今回の新製品でも「全ての価格帯において、ユーザーに満足してもらえるベストな体験をそれぞれのカテゴリーで提供できる」と自信を見せた。

CEO就任後、コーエン氏は数々の改革を実施してきたと述べる

なおコーエン氏は、1か月ほど前に話題となった事業継続に対する一部報道に対して言及。これを「一部誤解を招くような不完全な報道」だと表現し、「債務の借り換え、売却、戦略的取引の可能性の検討など」は「全てポジティブなアクション」だとコメント。「事業運営製品の開発及び製造能力、世界中のユーザーのサービス提供に直接的な影響を及ぼすことはない」と述べた。

またその証拠として、「2025年の新型モデルは、北米、ヨーロッパにおいて販売が開始」されており、「これらは従来品に比べて利益率が向上しており、2026年の前年比の収益性にも貢献する」と説明。「アイロボットは磐石だ」と強調した。

関連キーワード: