か、開発はしてたんですけど…
自称AI自動ショッピングアプリ「Nate」、実は人力だったことが判明

新型コロナウィルスのパンデミックで世界中の人々が巣ごもり生活を強いられた頃、AIによってあらゆるネット通販サイトからの商品購入をワンクリックで完了できるAI自動ショッピングアプリ「Nate」が、その手軽さから人気を博していた。
ところがその後、Nateのサービスが実際にはAIではなく、フィリピンのコールセンターにいる数百人のオペレーターによる買い物代行サービスだったことが判明した。そして今週水曜日、Nate創業者でCEOだったアルバート・サニガー氏が詐欺罪で起訴された。
あらゆるネット通販サイトからワンクリックで商品を購入できるとのふれ込みで話題になったNateは、2018年の設立後に投資家から5,000万ドル以上を集め、2021年にもRenegade Partnersが主導する3,800万ドルのシリーズAラウンドによる資金調達を実施した。
しかし2022年、テクノロジー情報サイトThe Informationが、「Nateの内部データに直接アクセスできる2人の人物」から得た情報として、同アプリがAIではなく人の手でショッピングを代行しており、「手動で処理した取引の割合は、2021年を通じて60%~100%の範囲だった」と報告。実質、アプリの裏側のほとんどの購入処理が手動であったにもかかわらず、資金調達時には投資家に対し手動処理も用いているという情報を十分に共有していなかったと報じた。

Nateの広報担当者は当時、The Informationが報じた60%から100%の範囲という数字やその他の情報は誤りだと主張し、「Nateの独自技術に疑問を投げかける主張には全く根拠がない」と述べていた。実際、Nateはサードパーティ企業からAI技術を取得し、データ サイエンティストのチームを雇ってAI機能を開発していた。だが、NateのAIがネットショッピングのプロセスを一貫して完了する能力を達成したことは最後までなく、サニガー氏は投資家やほとんどのNate従業員に対してその事実を隠蔽したと、司法省は今回の起訴に関するプレスリリースで述べている。
起訴状によると、Nateは2023年1月に資金が底をついて資産売却を余儀なくされ、投資家はほとんどなにも回収できなかったとのことだ。
サニガー氏は現在、スペイン・バルセロナに在住しているが、証券詐欺および通信詐欺でそれぞれに最長20年の懲役刑が科される可能性があるという。
ちなみに、2019年にはインドのスタートアップ企業が、AIを活用したアプリ開発プラットフォームを構築したと発表し、たったの1時間で、ユーザーがモバイルアプリの80%以上をゼロから作成できるサービスを提供した。
ところがこのサービスは、実際にはインドやその他の国で雇用されたエンジニアによって、人力でコードを開発していたことが後に判明した。2023年にはファストフードのドライブスルーにおいて、音声による注文処理をAIで自動化するというフィリピンのスタートアップ企業Presto Automationの「Presto Voice」ソリューションも、やはりAI音声でなく外部オペレーターによって処理されていたことが米証券取引委員会に報告されていた。
- Source: DOJ
- via: TechCrunch