日本でも赤字で販売?

Switch 2の価格は「赤字覚悟」か。関税増でも価格据え置きとの予測

Image:agustin.photo/Shutterstock

任天堂は当初、Nintendo Switch 2(以下、スイッチ2)の米国での予約開始日を4月9日に設定していたが、トランプ大統領の新たな関税政策による影響を評価するためとして無期延期した。ほとんどの国々に対して関税引き上げは90日間だけ猶予されているが、それでも中国からの輸入品に対する関税は125%とされ、他の国にも最低でも10%の関税が適用される。

この90日間の猶予期間中に、任天堂はベトナムで可能な限りスイッチ2を製造し、できるだけ多くを米国に輸送することを検討している可能性があると米Bloombergが報じている。

最新の報道によると、任天堂にとって米国は全売上の3分の1以上を占めており、スイッチ2の約3分の1はベトナムで組み立てられているという。ベトナムに対しては46%の関税が課される予定だったが、現在では他の国と同じ10%の関税が課されるだけである。任天堂はベトナムでの生産を全て米国向けに集中させ、今後3か月で最大限の出荷を目指すとされている。

それでも、10%の関税が課されることに変わりはないが、任天堂はスイッチ2を値上げせず、予告通り450ドルに据え置くと複数のアナリストが予測している。東洋証券の安田秀樹氏は、「スイッチ2の部品価格は約400ドルと考えられる。つまり、10%の関税が課されれば、任天堂は米国でゲーム機を赤字で販売することになるだろう。しかし、その損失は任天堂が吸収できる範囲だ」と述べている。

一方、ソニーに関しては「PlayStationの生産のほとんどを中国で行っているため、より厳しい状況にあり、近い将来、米国でPS5の価格を引き上げることを余儀なくされる可能性がある」とのことだ。

もしもスイッチ2の部品価格が約400ドルだとすれば、任天堂は日本語・国内専用版を4万9980円(約350ドル)に設定していることから、国内向けにも赤字覚悟で販売することになる。

別のアナリストである大手金融機関バーンスタインのRobin Zhu氏も、ベトナムからの輸入関税が10%のままなら米国価格は450ドルが維持されるとしつつ、46%となれば「スイッチ 2の価格を50ドル〜100ドル引き上げるだろうと予想していた」と述べている。

ソニーやマイクロソフトと異なり、任天堂は「ゲーム機本体を赤字で販売し、ソフトウェア販売で補てんする」という戦略を採ってこなかった。近年の任天堂は映画やテーマパークなど多角化を進めているものの、依然としてゲーム事業が収益源として圧倒的に大きな割合を占めており、他の事業が経営の柱になるには至っていない。関税が理由としても、任天堂がスイッチ2を赤字で販売する可能性があるという指摘は驚きである。

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