ややこしい

カリフォルニア州司法長官にOpenAIの営利化阻止求める嘆願書。50以上の団体が署名

Image:ioda / Shutterstock.com

米国のLatinoProsperityなど非営利団体やCalifornia Teamstersなどの労働団体、合計50以上の組織が、ChatGPTで知られるOpenAIの営利企業化を阻止するよう求める嘆願書を、カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官に送付した。

嘆願書には「OpenAIは、人類全体に利益をもたらすAIの開発を目標に活動を開始したが、いまや企業構造を変更しようとしており、その新たな目標は、AIによる利益追求、計り知れない利益をもたらす可能性と、世界を変える強力なテクノロジーとなる可能性のあるものを支配する力を、一握りの企業投資家とハイレベルの従業員に提供することに変貌した」と記されている。

Los Angeles Timesによると、OpenAIは2024年に公益法人に移行する計画を発表しており、2年以内にそれを実行しなければ、集めた資金の大部分が負債化するリスクがあるとのことだ。

今回の労働団体らによる嘆願書が示す主な懸念は、OpenAIが「慈善資産の保護を怠り」、積極的に「安全な人工知能を発展させるという慈善事業の使命を没却している」というものだ。

サンフランシスコを拠点とするOpenAIは、2015年にまず非営利団体としてスタートし、その後、商業運営を統括する営利子会社を立ち上げた。しかし、現在は非営利団体の理事会が監督・運営するものの、実質的な営利企業に移行しており、ChatGPTやテキストからビデオへの変換ツールSoraなどの製品やサービスを開発している。

OpenAIが営利企業に移行した主な理由は、より多くの資金を集めるためだ。現在のところ、OpenAIがより多くの人々に投資してもらうことを妨げるものは何もないが、投資家に提供できるリターンには制限がある。

OpenAIの理事会は、2023年にサム・アルトマン氏を追い出すなど、長年にわたって営利団体としての側面を抑制しようとしてきたが、結局アルトマン氏は復帰し、逆に放出に動いた理事会メンバーが追い出される格好になった。それ以後、アルトマン氏はOpenAIをますます営利化へと導いており、嘆願書に名を連ねた団体や組織は、OpenAIのそのような動きが、公共の利益を保護するために司法長官が介入するための十分な正当化理由になると主張している。

同様の抗議としては、Metaがやはりカリフォルニア州の司法長官に対してOpenAIの営利化は「法律に違反する」と主張する書簡を送っている。またxAIを率いるイーロン・マスク氏も、昨年12月にOpenAIの非営利から営利への転換を阻止するよう裁判所に要請していた。

ちなみにマスク氏は、OpenAI設立に多額の資金を投じ、創業当初は重要な地位を占めていた。しかしその後、アルトマン氏らとともに営利化の方針を決める際に、マスク氏がCEOに就くことを拒んだアルトマン氏らと対立。OpenAIを去り、その後同社を幾度となく批判するようになった。今年はじめには、OpenAIに対して(本気か否かは別として)買収をもちかけたが、OpenAIはこれを拒否。今月9日、OpenAIはマスク氏の買収提案はOpenAIに対する「嫌がらせ」が目的であり、経済的損失を被ったとして損害賠償を求める訴えを起こした

関連キーワード: