マスク氏はCybertruck用のカタマランキットを出すとも言いましたが、もう3年が過ぎました

マスク氏の「Cybertruckはボートにもなる」発言を真に受けた(?)ドライバー、沈む。荷台から水上バイクを浮かべようとして

Image:TowBoatUS Ventura

2022年、イーロン・マスク氏は自身が所有する電気自動車メーカー、テスラが初のピックアップトラック「Cybertruck」を発表した当時、このEVが「短時間ボートとして使用できる程度の防水性を備えているため、川や湖、さらにはそれほど波が立っていない海でも渡ることが可能だ」とTwitterで発言した。

2023年にはさらに、Cybertruckには「ウェイドモード」と呼ばれる機能があり、自動車メーカーによれば「バッテリーパックに圧力をかける」ことで「水の中を走行する」ことができるとまで主張していた。

だが実際には、ウェイドモードは「車高を最大限まで上げ、バッテリーを加圧する」ことで防水性を高める機能で、砂浜の波打ち際や少々冠水した程度の場所を走行できるようにするモードでしかない。しかも、このモードはぬかるみのあるオフロードなどの走行時に使うことが推奨されているが、使用中に発生した故障は保証対象外だ。

それでなくとも、マスク氏の発言は不正確なことが多い。長年マスク氏の動向を追ってきた人なら、その発言が正しいかどうか、常に眉唾で確認するクセが付いていることだろう。先日、ラスベガスのトランプホテルに侵入したCybertruckが爆発した事件があったが、マスク氏はそのCybertruckが爆発と炎上で上半分が消失しているにもかかわらず、タイヤがパンクしていないなどと述べ、その頑丈さを「最強のトラック」だとSNSでアピールした。さらには「いつか再び道路を走れるように修理する」とまで発言していた。だが3月10日、そのCybertruckはテスラ(またはマスク氏)が引き取るどころか、修理もされないままオークションに出されたことが報じられている。買い手がいるのかは不明だ。

だが今週月曜日、そんなマスク氏の「Cybertruckはボートになる」発言を真に受けてしまったかもしれないテスラオーナーがいた。このカリフォルニア在住の人物は、カリフォルニアのCybertruckオーナーは、荷台に積んだ水上バイクをハーバーに浮かべようとして、Cybertruckごと海に進入。無事に水上バイクは海に浮かんだという。

ただ、水上バイクが浮かんだのはドライバーが意図したとおりではなく、単にCybertruckが沈んだ結果だった。なお、地元紙はドライバーは水上バイクを降ろすために前進するつもりが誤ってバックしてしまい、そのまま海に転落したようだと書いている。

いずれにせよ、ドライバーはCybertruckの運転席から慌てて脱出する羽目になり、EVの引き上げのために沿岸警備隊や地元消防局をはじめ、ハーバーパトロール、ボート牽引サービスなどが続々と呼び出された。地元メディアのKTLA5によれば、Cybertruckは引き揚げ準備が整う間、水中に2時間ほど沈んでいたが、回収作業は30分で完了したという。引き揚げ作業を監督した人物は、感電を含む「あらゆる潜在的な危険を調査し、緊急時対応計画を確実に実施するための時間を確保するため、意図的に対応を急がなかった」と述べた。

特に、電気ピックアップトラックが水から引き上げられた途端に、バッテリーから発火する可能性が懸念のひとつに挙げられていたが、結果を見ればその心配は不要だった。

今回の事故における責任の所在はと言えば、それはCybertruckオーナーにあると言わざるを得ない。まともに考えれば、自分が乗っているクルマが水陸両用車かどうかぐらいは理解しているはずだ。

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