海賊版ゲームの削除要請に裁判所の手続きは不要

任天堂、海賊版ゲーム共有サイトに勝訴。数年にわたる法廷闘争にピリオド

Image:JHVEPhoto/Shutterstock

任天堂は、フランスのファイル共有サービス「1fichier.com」を運営するDstorage社に対する訴訟に勝利した。同社が海賊版ゲームの削除要請に応じなかったとして提起され、長きにわたった法廷闘争は、先月末にフランス最高裁が最終判決を下したことで、任天堂の勝利が確定した次第だ。

任天堂は複数のメディアへのプレスリリースにて、フランスの裁判所が「このプラットフォーム(1fichier.com)に保存されている任天堂ゲームの無許可コピーにつき、削除もアクセス遮断もしなかったことに対して責任を負う」ことに同意したと述べている。

この訴訟は2021年、任天堂はDStorageが海賊版ゲームの削除要請に応じなかったとして提訴したことに遡る。パリ司法裁判所はDstorageに95万5,500ユーロ(約1億3,800万円)の支払いを命じたが、同社はこれを不服として控訴。そこでも再び任天堂が勝利を収め、Dstorageはさらに上告したが、最高裁でも任天堂側の主張が認められた。

任天堂はプレスリリースにて、「裁判所がDstorageに責任があると認定したことを喜ばしく思う。これは任天堂だけでなく、ゲーム業界全体にとっても重要なことだと考えている」と述べている。さらに今回の判決により「1fichier.comのようなファイル共有サービス」が、著作権で保護されたコンテンツの削除要請に従うには裁判所の命令が必須だと主張できなくなる、と付け加えている。

このうち後者は、権利者がファイル共有サービスに海賊版コンテンツの削除要請をする場合、事前に裁判所の判断を仰ぐ必要があるとのDstorageの主張を否定するものだ。つまり、少なくともフランス国内では、ファイル共有サービスは海賊版コンテンツの削除やアクセス遮断を要請された場合、応じる義務を負うことになる。

この1年、任天堂は法的闘争を強化している。2024年には、Nintendo Switchエミュレータ「Yuzu」の開発者を提訴し、完全な閉鎖に追い込んだ。同じくスイッチのエミュレータ「Ryujinx」も撤退させた可能性があり、さらに『パルワールド』開発会社のポケットペアを相手取って特許権侵害訴訟を起こしている

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