数十億ドルを投資、発表ビデオでの紹介は15秒

アップル、初の自社設計モデム「C1」を「iPhone 16e」に搭載。長時間バッテリーに貢献

Image:Apple

アップルは本日、初の自社設計セルラーモデム「C1」を発表した。ミドルレンジの新モデル、「iPhone 16e」に搭載される形でデビューを飾っている。

同社はプレスリリースにて、新型モデムがiPhone 16eの省電力に貢献していることを強調している。「iPhone史上最も電力効率に優れたモデム」であり、C1を含むAppleシリコン(独自設計チップ)やiOS 18の電力管理機能などが「並外れたバッテリー駆動時間を実現」しているとのことだ。

アップルはiPhone 16eのバッテリー駆動時間が「6.1インチのiPhone史上最長」であり、「iPhone 11より最大6時間長く、すべての世代のiPhone SEより最大12時間長く持続」すると述べている。かたや5年以上昔のデバイス、かたや本体サイズとともにバッテリー容量も小さく、比較対象として適切とは言い難い。

が、最大26時間のビデオ再生は、iPhone 16標準モデルの最大22時間よりも4時間長い。両モデル同じ画面サイズとA18(16eのGPUコアは16より1つ少ないが)を搭載しているため、主な消費電力の差はC1モデムによるものだ。iPhone 16標準モデルにはクアルコム製のモデムチップが使われており、アップルは独自設計で電力効率に注力したようだ。

その一方で、C1モデムは高速な5Gミリ波に対応していないことはアップルが公式に認めている。もっとも、iPhone 16シリーズもミリ波対応は米国モデルのみであり、日本には影響しない。また衛星通信には対応しており、iPhone 16eも衛星経由の緊急SOSなどは利用できる。

アップルの内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者は「C1アップルモデムは、記念碑的な技術的偉業だ。数十億ドルを投じ、7年の歳月をかけて開発された」という。プレスリリースではわずか2行、発表ビデオでは15秒しか紹介されていないが、これは「意図的」に行っているとのことだ。

他の全てのiPhoneモデルは、クアルコム製のモデムを使っている。Appleシリコンによりアップルがインテル製プロセッサーから離れたように、5Gモデムについてもクアルコムへの依存を減らすことになりそうだ。

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