ハードウェアは製造せず、他社に技術提供して稼ぐつもり?
Metaもヒト型ロボット開発に巨額の投資か。AIやMR技術を活用の見通し

MetaがAI搭載ヒューマノイド(ヒト型)ロボット開発への大規模投資を計画しており、同社のReality Labs部門に新たなチームを結成し、まず家事をこなせるハードウェアの開発を始める予定だとBloombergが報じている。
これは拡張現実(AR)やAIへの取り組みを経た上で、「次の大きな賭け」に位置づけられるという。「様々な企業が製造・販売するロボットの基盤となるAI、センサー、ソフトウェア」の開発を目指しており、Unitree RoboticsやFigure AIなどのロボット企業と協議しているとのこと。今のところMetaブランドのロボットを開発する計画はないが、将来的には検討するかもしれないと伝えられている。
同社のアンドリュー・ボスワースCTO(最高技術責任者)の社内メモによれば、このロボットにはReality Labsが培ったコア技術が「補完的」であれ使われるという。手の動きの追跡、低帯域幅でのコンピューティング、常時稼働するセンサーなどの技術が重要な役割を果たすとのこと。この分野への投資は「Meta AIと当社のMRおよびARプログラムの価値を高めるだけだと信じている」と語られている。
Metaは2025年内に、AIインフラや新たなロボットプロジェクトに650億ドルを投じるという。ロボットチームは自動運転車企業Cruiseの元CEOであるマーク・ウィッテン氏が率い、約100人のエンジニアを雇う予定とのこと。これにより、GoogleのAndroidやクアルコムのチップがスマートフォン業界に与えた影響を再現したいと考えているという。
すでにテスラは独自のヒト型ロボット「オプティマス」を披露しており、1台あたり2万ドルから3万ドル、米国では2026年から販売される見通しだ。またアップルもヒト型と非ヒト型ロボットの両方を検討しており、量産は2028年以降になると著名アナリストが主張していた。
かたやNVIDIAもヒト型ロボット向け汎用基盤モデル「Project GR00T」や、自動運転車やロボットなど物理AI開発を加速する世界基盤モデル「NVIDIA Cosmos」を打ち出しつつ、自社でハードウェアを製造・販売する計画は発表していない。
同社のジェンスン・ファンCEOはロボット市場を「数兆ドル規模の機会」だと述べており、技術提供による収益を目論んでいるようだ。Metaも、同じようなビジネスモデルを思い描いているのかもしれない。