高金利の普通預金口座はなくなる?
ゴールドマン・サックス、Apple Cardとの提携を早期解消?他社に引継ぎを交渉中か
アップルは自社ブランドのクレジットカード「Apple Card」を、米金融大手ゴールドマン・サックスの協力の下で提供している。このパートナーシップについて、予定より早く解消する可能性があるとゴールドマンのデビッド・ソロモンCEOが認めた。
ソロモン氏は決算説明会にて、アップルと2030年までパートナーシップを続ける契約があるとしつつ、早期に打ち切る可能性があると述べた。さらにReutersは、アップルがゴールドマンに代わる提携先として、国際金融グループの英バークレイズや米消費者金融サービス会社シンクロニー・ファイナンシャルと交渉中だと報じている。
ゴールドマンの消費者金融事業における苦戦は、過去18か月にわたって広く報道されてきた。同社は消費者向けクレジットカード事業で数十億ドルもの損失を計上しており、すでにMarcusブランドの個人向けローンなど、大部分を縮小している。またGM(ゼネラル・モーターズ)との提携も解消し、GMクレジットカードを上記のシンクロニーに譲渡した。
その中でも大きな重荷となっているのが、Apple Card事業である。同社は2022年1~9月には12億ドル以上の税引前損失を計上していたが、それは主にApple Cardによるものだった。
注目すべきは、現在アップルが英国でバークレイズと提携して融資サービスを提供していることだ。2019年のサービス開始以来、Apple Cardは米国内のみで提供されているが、今後は英国を皮切りに他の国や地域にも拡大する可能性があるかもしれない。
以前The Wall Street Journalは、アップルがJPモルガン・チェースおよびキャピタル・ワン(どちらも米金融持ち株会社)と提携について協議中だと報じていた。もっとも、ゴールドマンがアメックスに引き継ぐよう交渉したとの観測もあり、今のところ新たなパートナー企業がどうなるかは不明である。
なぜ引き継ぎが難航しているかといえば、年利4.15%もの普通預金口座「Apple Card Savings」や、アップル製品を購入する際に無利子の分割払いを提供しているためだろう。この条件は消費者にとって非常に魅力的だが、ゴールドマンにとっては巨額の損失に繋がっている。
いずれの報道も、交渉相手の企業が「アップルに取引条件を変更するよう圧力をかける可能性が高い」と伝える点では共通している。Apple Cardが存続するにせよ、ユーザーが美味しい目を見られる残り時間は限られているかもしれない。
- Source: Reuters(1) (2)
- via: 9to5Mac