今ではAIでコラボしたり改善している模様
アップルとNVIDIAの「険悪な関係」、発端はジョブズ時代にさかのぼるとのレポート
かつてアップルはMacにNVIDIA製のGPUを搭載していたこともあったが、今や直接的には関わりがないようにも見える。逆にAIサーバー需要が高まるなか、アップルはNVIDIAのGPUやAIチップを「使わない」ハイテク大手の1つとして際立っているほどだ。
そんな両社が、実は歴史的に「険悪な関係」にあったとニュースメディアThe Informationが報じている。
その「険悪な関係」のほとんどは、まだスティーブ・ジョブズ氏がCEOだった2000年代~2010年代初頭にまでさかのぼっている。NVIDIAの上級幹部との会議中に、ジョブズ氏は同社の製品にピクサー(当時ジョブズ氏は大株主だった)からコピーした技術が含まれていると述べたとのこと。NVIDIA幹部は否定したが、ジョブズ氏は会議の残りの時間、相手を無視し続けたという。
また、当時のNVIDIA製チップは電力効率が悪くて大量の熱を発生するという、ノートPCには好ましくない特性があった。アップルはMacBook用のカスタムチップを設計するようNVIDIAに打診したが、しり込みされたとのこと。
元従業員は、NVIDIAにとってトップ10の顧客にも入らないのに、アップルの要求は厳しすぎると見ていたと語っている。
その後も両社の関係は良好とは言い難く、2019年にはmacOS Mojaveのドライバーに関してNVIDIAとの協力を停止。これにより、将来的にMacでNVIDIA製GPUのサポートが望めないばかりか、最新の外付けグラフィックカードが使えなくなった。
しかし、現在の関係は「完全に険悪なものではない」という。たとえば最近、アップルはLLM(大規模言語モデル)研究につきNVIDIAとのコラボを発表したほか、NVIDIAも新たなソフトウェアフレームワークを発表した際にApple Vision Proを紹介していた。
また、アップルはアマゾンやマイクロソフトなどの企業クラウド経由で、NVIDIA製GPUを間接的に利用している。今回の報道にあるような、NVIDIAに対する「アレルギー」は解消されたと示す手がかりには事欠かない。
そもそもアップルは製造コストの削減、ハードとソフトの統合性の向上、外部サプライヤーへの依存度を下げるなど、様々な理由から多くのチップや技術を自社設計にシフトしつつある。2020年にはMacのチップをインテル製から「Appleシリコン」に切り替え、2025年初頭の「iPhone SE 4」を皮切りに5Gモデムもクアルコム製から独自チップに切り替える見通し、という具合だ。
The Informationの取材に対し、NVIDIAはアップルとの協力に引き続き門戸を開くと語っている。一方的に関係を打ち切られた、と示唆しているようだ。
アップルとNVIDIAともに好調であり、特に接近する必要は感じないのだろう。とはいえ、Mシリーズチップ搭載MacでNVIDIA製などの外付けGPUカードが使えない問題は、今後も解消が望み薄のようだ。
- Source: The Information
- via: MacRumors AppleInsider