合計約112億円を越える払い戻し

『フォートナイト』で“望まない課金購入”をしたプレイヤーに112億円超の払い戻し、米FTCが開始

Image:Pryimak Anastasiia/Shutterstock.com

米連邦取引委員会(The Federal Trade Commission:FTC)は12月上旬、Epic Gamesによる人気ゲーム「Fortnite/フォートナイト」のプレイ中に “望まない不要な購入” を仕向けられたとする消費者に対して、合計7200万ドル(約112億円)を越える払い戻しの手続きを開始した。

払い戻しの総件数は60万件を超える

遡れば2022年12月にEpic Gamesは、一部のユーザーから、ゲームコンテンツの中で「ダークパターン」と呼ばれるプレイヤーの奇をてらう導線を踏んだことが原因で、不正に課金コンテンツの購入を仕向けられたとする不服の申し立てを受けていた。この時にFTCは和解案として、2億4500万ドルをユーザーに支払うよう求める命令をEpic Gamesに下した。7200万ドルの払い戻し手続きは、この和解案の一環となるものだ。

当時FTCは、フォートナイトのゲーム画面の構成に「反直感的で一貫性がなく、混乱を招くおそれ」があり、プレイヤーの年齢にかかわらず不要な課金が発生する可能性を指摘していた。ダークパターンとなり得るボタンは、ゲームをスリープモードから復帰させる際の画面、ローディング中の画面、またはアイテムのプレビュー画面などに表示され、プレイヤーがこれを押下するだけで課金される可能性があったという。

本年12月以降にEpic Gamesのペナルティを原資として、FTCからフォートナイトのプレーヤーに払い戻される総件数は629,344を見込む。約半数がPayPal、残り半分が小切手によって払い戻される。該当する消費者からの請求申し込みは、FTCがオンラインに公開したフォーム「Fortnite Refund」から2025年1月10日まで受付けている。払い戻し手続きの詳細も同ページにまとめられている。

FTCはオンラインで申し込みを受け付けている

なお2023年内に、FTCは全米消費者に対して3億3,000万ドルの払い戻しを行った。そのうちEpic Gamesに関わる払い戻しは全体の約22%を占めていたという。

欧州の消費者団体からも声が上がっている

2024年9月には欧州消費者組織(The European Consumer Organisation:BEUC)も、17か国を代表する22の消費者団体とともに、Epic Gamesを含むいくつかの主要なゲーム会社に対して請求を申し立てた。

同様に、2024年5月にはオランダ消費者・市場庁(The Netherlands Authority for Consumers and Markets:ACM)が、オランダの消費者保護法に基づく業務慣行の原則に違反したとして、125万5000ユーロ(約2億円)のペナルティをEpic Gamesに科した。ACMは子供たちを対象にしているフォートナイト、またはEpic Gamesのコンテンツが「ゲーム内購入をするように過度の圧力をかけている」と指摘している。

2024年8月16日から、Epic Gamesは独自のモバイル向けデジタルコンテンツマーケット「Epic Games Store」のアプリを提供している。日本でもAndroidデバイスが、Google Playストアを介さずにウェブブラウザ経由でアプリのインストールが可能だ。また、アプリ内課金コンテンツはEpic Gamesが提供する独自の決済手段を用いて購入できる。

「Epic Games Store」(Image:Epic Games)

同社はEpic Game Storeのメリットが「いったんストアをインストールしてもらえれば、ストア上でゲームなどのコンテンツは “ワンクリック” で買える」ことであると説いている。しかしながら、ゲーム内画面の導線がプレイヤーの誤操作による課金コンテンツの購入を誘発しやすいものであれば、今後も同様のトラブルが絶えず起こり得るだろう。

望まない課金を防ぐには、ユーザーがEpic Gamesに対する問い合わせを素速くシンプルにできるサポート体制も整える必要がある。これからも真に “ユーザーファースト” なアプリマーケットの在り方を模索することが求められている。

関連キーワード: