管理医療機器認証を取得

ファーウェイ、血圧計内蔵スマートウォッチ「WATCH D2」。自動測定に対応、より日常使いしやすく

編集部:平山洸太

「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」

ファーウェイ・ジャパンは、血圧計を内蔵したスマートウォッチ「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」を発表。クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」にてプロジェクトを開始し、2月中旬の発送を予定する。カラーはブラック(フルオロエラストマーバンド)とゴールド(ホワイトレザーバンド)の2色。正式発売における想定価格は60,280円(税込)。

カラーは2色を用意

日本の管理医療機器認証を取得した血圧計を内蔵するスマートウォッチ。前モデル「HUAWEI WATCH D ウェアラブル血圧計」の後継モデルとして、新たに夜間の血圧自動測定に対応した。計量法の認証も受ける必要があるため、出荷にあたり器差検査を行い、基準に収まっているか全数検査しているという。

このようなかたちで検査を行うという

同社がウェアラブルタイプの血圧計を投入する背景として、日本人のおよそ3人に1人である4300万人が高血圧患者とのこと。高血圧は、心筋梗塞や脳卒中など多くの疾患につながるが、治療を受けていない方が43%にもおよんでいるという。血圧は24時間にわたって大きく変動することから、高血圧患者が自身を管理するためだけでなく、年齢に関係なく若いユーザーでも自身の把握に役立つという。

スマートウォッチの本体内部にマイクロポンプが搭載されており、ベルトと一体化されたカフに空気を送り込むことで血圧測定する仕組み。高精度圧力センサーを搭載することで、圧力測定の誤差も±3mmHg以内に押さえているという。測定時間は60秒くらいとのこと。

空気で膨らむカフがバンドの内側に配置されている

さらに夜間の測定でも気にならないよう、より静かに効率的に圧迫するように進化させたとのこと。カフは自社開発となっており、高周波数の振動や騒音が少ない静音設計のため、就寝中や外出時も測定できるとする。「HUAWEI TruSense」生体センシングシステムにより、血圧測定結果も前モデルから10%精度向上した。

新たに「自動血圧モニタリング機能」を搭載。この機能により、夜間は自動で測定しつつ、日中はリマインドが送られて測定を促せるようになっている。なお測定は安静状態で行うあるため、日中については測定姿勢(腕を心臓の高さまで上げ、逆の手で肘を支えるようなポーズ)を取る必要があるという。またリマインド後の測定フローについては、送られてから8秒後に自動スタート、タップして手動スタートを選ぶことが可能。

日中は測定の際に決められたポーズを取る必要がある

また夜間の自動測定については、何時から自動測定を開始するか(ベッドに入るか)をユーザーから設定することが可能。自動測定の間隔は、15/20/30/45/60分から選べる。なお、デフォルトでは30分に設定されており、これは欧州高血圧学会のガイドラインに準拠した設定だという。なお、全自動血圧計としての医療機器認証は取っていないため、24時間全体のデータについては医療目的については利用できず、健康管理のための参考データに留めた使用になるとのこと。

ディスプレイサイズは約1.82インチに大型化しつつ、ベルトを含めた質量は約10%軽量化。カフも兼ねているベルト幅は12%スリムにするなど、「スマートウォッチとして日常使いできる」デザインを追求している。防水防塵はIP68規格に準拠、ベルトを除く質量は約40gとなる。

画面が大型化。左が前モデル、右が新モデル
ベルトがよりコンパクトになっている。左が前モデル、右が新モデル

なお、ベルトについても新しい構造を採用。フルオロエラストマーで高耐久の高分子素材で挟み込むことで、血圧測定を行っても変形しづらく安定した測定に配慮している。また、前モデルではカフ部品のカバーは布製だったが、新モデルではTPU樹脂に変更している。

一般的なスマートウォッチと同様、睡眠モニタリング、心拍数、血中酸素レベル、皮膚温、ストレスレベルなどの健康管理機能を搭載。約90秒で心拍数や血圧などを最大6項目をまとめてチェックできる健康管理機能「Health Glance」にも対応する。データは専用アプリ「HUAWEI Health」に蓄積され、心拍数や血圧測定結果が設定値を超えた場合に家族などへ通知する、ヘルスケア共有機能も備える。

通常のスマートウォッチと同様、心拍などの各種センサーを備える
血圧測定の結果もグラフでアプリに表示できる

ほか、バッテリーはフル充電から、1日6回血圧測定した場合で約6日間、自動血圧モニタリング使用時は約1日間利用できる。充電はワイヤレス式で、充電時間は約1時間30分。またGPSを内蔵し、ウォーキング、ランニング、サイクリング、登山など、80種類以上のワークアウトモードにも対応する。対応OSはAndroid 8.0以上、およびiOS 13.0以上。

発表会では、前モデル「HUAWEI WATCH D ウェアラブル血圧計」を使用して、今年1月に発表された研究結果を紹介。研究を行った岡山大学学術研究医歯学領域 公衆衛生学 教授の神田秀幸氏が登壇し、「血圧モニタリングにとってのウェアラブルデバイスとしての有用性」がアピールされた。

岡山大学学術研究医歯学領域 公衆衛生学 教授 神田秀幸氏

研究では、福祉施設の高齢者を対象にした一般的な上腕血圧計との比較を実施。結果としては、腕血圧計とWATCH Dに中程度の関連性が示されたとのこと。最高血圧では上腕血圧計とWATCH Dの差はなかったものの、最低血圧と脈拍は高めに出ることから、特性を見ながら使っていくと良いという。

加えて研究では、高校生を対象にしたeスポーツ選手の血圧変動にについても検証。ゲームの前後とプレイ中にWATCH Dを計測した結果、プレイ中は血圧が高まり、プレイ後にはもとに戻る動きがみられた。勝ったチームと負けたチームを比べた結果、勝ったほうが変動が大きいことから、「交感神経の活動が勝ちにつながっている」可能性があるとのこと。こうした変動を計測できるのもWATCH Dのメリットだとした。

神田氏は若い世代でも血圧を測るメリットについて、認知症と血圧の変動・安定性は認知症のリスクになることから、血圧の上がりやすい場面を把握しておくことが重要だとコメント。また発表会では今後の研究に役立てるべく、新モデルのWATCH D2が、研究に携わったアーキテクトグラウンドデザイン株式会社宛に20台寄贈された。

20台のWATCH D2が寄贈された

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