アップルは中国政府にたびたび譲歩

Apple Intelligence、中国でBaiduと提携するもプライバシー保護めぐり対立か

Image:nikkimeel/Shutterstock.com

アップルはiOSやmacOSにAI機能「Apple Intelligence」を搭載する準備を進めているが、国や地域ごとの規制に準拠せざるを得ない。特にChatGPT等の使用を禁止している中国では難航しており、現地のAI企業と提携を余儀なくされるとの報道もあった

その続報として、同社が現地の百度(Baidu)をパートナーにして2025年内の展開を目指しているものの、技術とプライバシーの両面で衝突したと伝えられている。

独自の情報源に定評あるThe Informationによると、両社のエンジニアはBaiduのLLM(大規模言語モデル)をiPhoneユーザー向けに上手く機能するよう適応させるため努力しているという。が、このモデルはプロンプトを理解し、一般的なシナリオに対して正確な応答を提供するのに苦戦しているとのことだ。

またBaidu側は、LLMの訓練に使われたデータに基づき応答したいと望んでいるが、アップル側はユーザーのiPhone使用状況に基づき、よりパーソナライズされた回答を提供したいと考えているという。

さらに両社は、AIモデルの訓練と改善のためにiPhoneのユーザーデータを使うかどうかを巡っても対立しているとのこと。Baiduはデータの保存および分析を望んでいるというが、これはアップルの「プライバシーは基本的人権」との姿勢と真っ向から反するものだ。同社はApple IntelligenceとPrivate Cloud Computeでも、強固なプライバシー保護を最優先している

もちろん、アップルにとっての課題は、世界最大の市場の1つである中国でiPhoneの売上をテコ入れすることだ。現地でのiPhoneの収益は3年連続で落ち込んでおり、Apple Intelligenceは起爆剤に位置づけられているようだ。

アップルはOpenAIとの提携につき、金銭を支払わないと報じられていた。が、BaiduのAIモデル「Ernie 4.0」には使用料を払うことに同意しているという。すでにSafariとSiriのデフォルト検索エンジンとしてはBaiduが使われている。

中国市場において、アップルは中国人ユーザーのiCloudデータ管理を中国内のデータセンターに移行し、現地法人に運営をゆだねるなどの譲歩を重ねてきた。Apple Intelligenceでも譲り過ぎたなら、米国内での批判が強まるかもしれない。

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