Apple Watchは手首を上げるだけでコマンド待ちになるので注意
今後のアップル製品、テレビCMの「ヘイSiri」に反応して暴発しなくなる可能性
アップルはiOS 8以降に「Hey Siri」コマンドを導入し、ユーザーがボタンを押すことなく音声アシスタントを呼び出せるようにした。
しかし、テレビCMがこのウェイクワードを話すと、Siriが暴発する事態が長年にわたって放置されてきた経緯がある。このトラブルが、今後のアップル製品では解消される可能性が浮上している。
米9to5Macは、今週リリースされたtvOS 18.2最新ベータ版に「AdBlocker」という新たなフレームワークが導入されたことを確認したという。その名前から、単なるオンライン広告のブロック機能のようにも思われるが、さらに深く掘り下げると興味深い点が見つかったとのことだ。
このフレームーワークは、ShazamKitとリンクしている。ShazamKitは、2018年にAppleが買収した楽曲識別プラットフォーム「Shazam」をアプリが利用するためのAPIだ。それとともに、Apple製品上の「Siri」および音声コマンド「Hey Siri」を管理するプロセスにも紐づいている。
コードを解析したところ、「AdBlocker」はアップルのサーバーからオーディオフィンガープリント(音声の特徴を抽出してデジタル化した識別子。音声の「指紋」)をダウンロードし、Shazam APIを使い、Hey Siri APIが機器のマイクでキャプチャした音と照合する。特定の音が一致すると、一時的にSiriのトリガーコマンドを無効にするとのことだ。
おそらく、ここで参照されるフィンガープリントは、アップルのテレビCMや基調講演で採取されたものと推測される。ユーザー以外から発せられる「Hey Siri」を聞き分けて、むやみに反応することを防せげるはずだ。
現時点では、AdBlockerフレームワークはtvOS 18.2でのみ確認されており、まずHomePodに実装する意向がうかがえる。2019年、アップルはAirPodsの広告で、Siriに曲を再生するように命じる人物をフィーチャーした結果、多くのHomePodの所有者が苦情を訴えていた。
もっとも、Siriは「Hey Siri」抜きでも発動することがある。たとえばApple Watchを装着している場合、手首を上げるだけでリクエスト待ちとなり、ユーザーの言葉に反応する。ふだんは便利な機能だが、英BBCの気象予報士が「この雪はさらに降り続く見込み」(米国のミネアポリス)と語った瞬間、Siriが「予報によると雪は降りません」とすかさず喋ったことがあった。
- Source: 9to5Mac