Vision Proは大きくて重すぎとの声も
Apple Vison廉価版は「薄さ」を追求か。画面解像度は半分に
アップルは空間コンピュータ(MRヘッドセット)「Vision Pro」の廉価モデルを開発中と噂されているが、そこでは搭載ディスプレイが焦点となっている。現行モデルでは製造コストのうち4分の1以上を占めているとともに、供給量が限られているため、製造台数を増やす上で枷となっているからだ。
そんななか、現在アップルは2つのディスプレイ技術を検討しているとの噂が報じられている。
韓国の電子業界メディアThe Elecによると、アップルは低価格モデルで使う有機ELパネルにカラーフィルター(CF)を組み込む方法につき、2つのオプションを検討しているという。
両方とも、ガラス基板上に白色発光の有機ELを形成し、その上にRGB(赤、緑、青)のCFをかけて色を付けるというものだ。この方式はW-OLED+CFと呼ばれ、1500ppiの解像度を想定しているとのことだ。
現行のVision Pro搭載ディスプレイは、シリコン基板上に有機ELを蒸着するOLEDoSである。ソニーが独占供給しており、解像度は3391ppiだ。低価格モデルの解像度が半分以下になるのは、数か月前にThe Elecが報じていたことだ。
今回の報道に戻ると、2つの選択肢のうち1つは有機ELを覆う薄膜バリア(TFE)にCFを直接蒸着する方式である。
こちらはガラス基板が1枚だけになり、デバイス本体を薄くしやすい。しかし、TFEのCF形成には、有機ELの損傷を防ぐための低温プロセスが必要となり、製造工程の難度が上がる。すでにサムスンが折りたたみスマートフォン向けに使っている技術だが、Galaxy Z Fold6の374ppiに対して4倍近くとなり、コストが跳ね上がる可能性がある。
もう1つの方式は、CFを形成したガラス基板を別に用意し、W-OLED(白色有機EL)を蒸着したガラス基板と組み合わせるものだ。製造工程の難度は下がるが、ガラス基板が2枚となり、デバイスが分厚くなるだろう。
このうちアップルは前者を好んでおり、サムスンディスプレイもその希望に沿ってパネルを開発する可能性が高いとのことだ。すでに開発を支援するための研究装置を設置する予定だと報じられている。
以前サムスンはRGB OLEDoS、つまりCFを使わずRGBピクセルが直接光を発するシリコン基板の技術を開発中だとして、MetaやアップルのVR機器に供給する予定だと発表していた。さらなる薄型化や明るくクリアな画面を実現しやすいはずだが、先送りにするのかもしれない。
今年9月には、ジャパンディスプレイがアップルにMRデバイス向けディスプレイのサンプルを送ったとの報じられていた。こちらもガラス基板ベースとされており、アップルの方向性は固まりつつあるようだ。
- Source: The Elec
- via: AppleInsider